写真家・初沢亜利氏の最新写真集 『東京 二〇二〇、二〇二一。』が、2021年12月、徳間書店より発売された。写真集の発売を記念し写真展「匿名化する東京」が開催されている。菅野志桜里編集長も写真展を観覧した。開催は2022年1月31日まで。
歴史の爆心に身を寄せ続けてきたドキュメンタリー写真家
これまで、イラク戦争前後のバグダッド、東日本大震災にみまわれた東北、民主化運動の渦中の香港などで撮影を続けてきた初沢亜利氏。そのドキュメンタリー写真家の、「2020年、2021年の東京」をモチーフとした最新写真集が発売中だ。
写真集には、コロナ禍、五輪、選挙……首都を覆う緊急事態宣言化の東京の変貌が映し出されている。制作のきっかけの一つに、同業の石川竜一氏から掛けられた「初沢さんが東京を撮ったものが見たい」という言葉があったという。
「被災地東北や沖縄、北朝鮮を、東京人として見て消費する側の一人という前提で巡ってきた。それが政治、経済、マスメディアの中枢である東京に帰ったとき、あなたはそこで何を撮るんですか? という本質的な問いかけとして僕は彼の言葉を受け止めたんです」(初沢氏)
PRTIMES
写真集の発売を記念し写真展「匿名化する東京」が開催
写真集の発売を記念し写真展「匿名化する東京」が開催されている。菅野志桜里編集長も観覧した。Twitterでは「なぜ安倍晋三さんの写真の前で?」などの反応もあった。
“右往左往した我々自身の自画像”、168点を収録
コロナ禍、ジャーナリストの多くが自粛を決める中、初沢氏は街に出ることを選び、東京の今を記録し続けたと語る。
「写真家の仕事は、現実の中で5秒前にも5秒後にも存在しない瞬間から歴史を抽出する作業です。本書所収の168点はさまざまな判断を躊躇し、右往左往した我々自身の自画像であり、そこには撮影者である私自身の迷いも含まれます。この2年を通じて何が変わり、何が変わらなかったのか。記憶の手引き、次世代に語り継ぐ資料として、この写真集がわずかでも役に立てば幸いです」(初沢氏)
PRTIMES
写真展「匿名化する東京」1月30日まで東京都中央区のRooNee247で