村上財団 村上玲代表理事 ©The Tokyo Post
村上財団 村上玲代表理事 ©The Tokyo Post

村上財団が政治家を目指す女性たちのためのプログラム「パブリックリーダー塾」第一期生を募集

8月4日、村上財団が、政治家を目指す女性たちのためのプログラム「パブリックリーダー塾」の塾生募集スタートの記者会見を行った。2022年1月より村上財団代表理事に就任した村上玲氏を中心に記者会見が行われた。

政治家を目指す女性のために100万円援助金も

日本のジェンダーギャップ指数は世界161位と低く、女性の政治参加が少ないことが要因のひとつとなっている。この課題に村上財団として取り組むことを発表した。

政治家を目指す女性たちのためのプログラム「パブリックリーダー塾」として、受講生に全9回の養成講座を実施し、ひとり100万円の助成金も用意するという。講座では、マニフェスト作成ケーススタディーやコミュニケーション術なども学ぶ。録画で期待のコメントを寄せた野田聖子議員も、政治家を目指す女性たちのためのプログラム「パブリックリーダー塾」の全9講座のうちの1回を担当する予定だ。この第一期生を募集する。

野田聖子議員のビデオメッセージ ©The Tokyo Post

日本の女性の立候補には「周りからの働きかけ」が重要

女性の政治不参加の理由について調査を行ったPWCコンサルティングによると、「政治は男性が進めるもの」というバイアスや、ハラスメントの心配、「力量に自信が持てない」という特有の感覚などが不参加の代表的な理由とした。また、女性は「周りからの働きかけ」があり立候補にいたるプロセスが多いことがわかったとした。

周りからの働きかけを促す一試みとして、同プログラムを立ち上げたという。

また、男性は産業や防衛などに関心が高く、女性は子ども、教育、社会福祉に関心が高い傾向がわかったという。女性の政治進出が進むことへのインパクトとして、女性の政治家が少ないことによって取り残されている課題にリーチできるということを挙げた。

立候補体験者が女性の政治参加の難しさを語る

政治参加に挑戦している女性代表として、先の参議院選の女性立候補者である佐藤こと氏、えりアルフィヤ氏も登壇した。

先の参議院選の女性立候補者である佐藤こと氏は、5歳の子育てと障害者施設に務める経験から政治に関心を持ち、音喜多駿氏の政策スタッフを経て2回立候補した。「選挙活動はお金もかかり、家庭で育児を担当していることが多い女性が政治にかかわるのは本当に大変だと思った。まず自分からという思いで立候補した」という。

えりアルフィヤ氏は日本銀行を経て国連に従事。最終職位は事務次長補付特別補佐官(安全保安担当)で、2022年5月に国連を退職し、参議院選挙全国比例区に自民党公認で立候補した。6週間の政治活動で54,662票の個人投票を得るも当選に届かなかった。

「国連で各国の民主化をお手伝いしてきた中で、民主主義にどれほど代表性があるか❝国民の声が政治の場に届いているか?❞ということが大きな着目点だった。日本の有権者として政治を見たところ、女性や多様なバックボーンの人間の代表性が見えない。そこで(問題を解決しようと)自民党に立候補した」とそれぞれ立候補の理由を語った。

女性立候補者がうけるハラスメントも障壁に

女性立候補者が少ないことの一つに「ハラスメント」もあげられた。佐藤こと氏は顔と名前が広く知られてしまうことのリスクを心配したといい、えりアルフィヤ氏は、参議院選挙中に誹謗中傷を経験したという。

えりアラフィヤ氏の出自に関して差別的なツイート、事実無根のことを広める、侮辱的なツイートがあった。その経験を踏まえ、「国民にも知る権利があるのはもちろんだが、政治家の人権が尊重されていないことは問題。多様性を政治の世界で増やすという目標をかかげるのであれば、多様な政治家が心地よくいられる環境づくりは大事だ。各政党、政府でも進めるべき問題と思っている」と語った。

また、マイノリティの人々はマイノリティの代表制が一定ラインに達するまで個人としてみられないため、属性の代表として見られてしまう苦痛もあるという。

えりアラフィヤ氏は「日本の女性が少ないことは、えりという政治家個人というより、属性代表として見られてしまう。ひとりひとりの候補者が個人として見られ、人間として思いが伝えることができる民主主義となっていけばいい」と政治にも多様性を訴えた。

米国の女性の政治参加支援のプログラム参考に

村上玲代表理事は、日本と同じく、クォーター制を採択していない米国事例に注目したという。米国は女性の政治参加や支援に特化した団体やプログラムが多く、発達しているため、クォーター性を洗濯せずに徐々に女性議員数を増やしてきたとし、「パブリックリーダー塾はこれに類する取り組み。日本のグッドモデルになると考えている」と語った。目標数値としては、まずプログラム受講生の立候補数だが、「多様な政策が作成される、これまでリーチできなかった社会課題にリーチできることで、社会課題の極小化自体をめざす」と抱負を示した。

「パブリックリーダー塾」の参加対象は、将来政治家を志望する10代~30代の女性(年齢は応募時点)、一次の書類審査と二次に面接審査がある。応募締め切りは8月31日。

応募要項はこちらhttps://murakamizaidan.jp/public-leaders-academy/

●村上玲氏が村上財団代表理事に就任し、アジェンダ設定したのが政治のジェンダーギャップ解消。多様性ある社会へ投資する意志を支持するとともに、継続的な取り組みとなることを期待する。(The Tokyo Post Editor)