画像:shutterstock オンライン授業
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コロナ禍で進学就職「昨年、若者の半数が無気力に」日本赤十字社の調査

新型コロナ感染拡大による若者の意識や行動への影響を調査していた日本赤十字社は2022年1月6日、「半数の若者が無気力に陥った」などとする調査結果を報告した。コロナ禍で就職や進学をする若者に寄り添う参考にしてほしいとする。

「自分に価値を感じない」と追い込まれる若者も

日本赤十字社は、国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてから2年が経過するのを機に、2021年12月10日から12日まで、日本全国の男女600人にインターネットでアンケートを行った。調査対象の内訳は高校生、大学・大学院生とそれぞれの保護者、高校教員、大学教員各100人ずつ。生徒や学生には、20年4月の初の緊急事態宣言から21年9月の第5波終息による宣言解除までの間に生じた不安を尋ね、保護者や教員には、この間に生徒・学生から受けた相談について尋ねた。

調査結果によると、若者の心の変化では「何もしたくなくなる、無気力」が高校生で43.0%、大学生49.0%と最も多かった。次いで、「孤独を感じ1人でいるのが不安」が高校生28.0%、大学生35.0%だった。

また、「自分に価値を感じない、他者から必要とされない」が高校生27.0%、大学生20.0%となったほか、「生きていることに意味を感じない、死を考える」が高校生18.0%、大学生11.0%と、精神的に追い込まれた若者も多かったことが分かった。

近い将来の進学や就職に関しても、高校生の42.0%が「受験や就職活動で苦労するのでは」と回答し、大学生も31.0%が「進学先や就職先で評価されないのでは」考えていた。特に「新しい人間関係を築くのが困難」と「対人コミュニケーションスキルが身につかない」と集団生活で得られる経験の乏しさへの不安を挙げる回答が多かった。

一方、保護者はこうした不安や精神状態について相談された経験のある人は少なく「相談されたことに当てはまるものはない」が高校生の保護者で79.0%、大学生の保護者で84.0%を占めた。

つらいときには専門家に相談を

調査結果について日本赤十字社は、「これから進学や就職などライフイベントを迎える若者が、コロナ禍での生活が既に自分の将来に影響している、また影響するだろうと感じている。また、一部の若者はとても深刻な状況に陥っている可能性がある」と分析。「通常であれば身につけられたであろう社会性や対人スキルを得られにくい環境であったことを周囲の人々が理解し、寄り添いながら見守っていくことが大切だ」だとしている。

こうした調査結果を受け、日本赤十字社は生徒や学生らに「気持ちがつらいときに相談できる人を思い浮かべましょう。今は大変なときですが、皆さんにとって成長の糧になりうるときでもあります」と呼びかけ、学校の保健教諭やスクールカウンセラー、専門家に相談することも勧めている。

また、保護者に対しては、「高校生、大学生の年代は第二次反抗期と重なり、親にはあまり相談したくないと自然に思う時期です。一方で、親への甘えも残っていて、身近な大人にいつも味方でいてほしいと感じています。話しかけてきたときにはしっかり聞くという態度を示し、子供にとっての安全基地でいてください。大人自身の安定も、子供にとって大切です。セルフケアも忘れないでください」と呼びかけている。

悩みや不安を抱えている人や家族などの相談窓口は次の通り。

文科省子どものSOS相談窓口

内閣官房孤独・孤立対策担当室 あなたはひとりじゃない

厚生労働省こころもメンテしよう(家族・教職員向け)