画像:shutterstock 世界最大の飛行機ありし日のantonov an-225
画像:shutterstock 世界最大の飛行機ありし日のantonov an-225

ロシアに破壊された「世界最大の航空機」を悼む動画が航空ファンの涙誘う

ロシアによるウクライナ侵攻によって破壊された「世界最大の飛行機」アントノフAN225「ムリヤ」をテーマにしたアニメのショートムービーがアントノフ社の公式Twitterで2022年4月18日に公開され、世界中の航空ファンの涙を誘っている。

ムリヤが鳥に姿を変え、ウクライナの空へ

ムリヤはウクライナのアントノフ社(製造時はソ連)が製造した世界最大の飛行機。ソ連版スペースシャトル「ブラン」を空輸する目的で開発された。胴体の上にブランを乗せるため、全長84メートル、全幅88.74メートルと世界最大級の大きさで、近年は貨物機として就航していた。ムリヤの愛称は、ウクライナ語で「夢」を意味する。

しかし、2022年2月末、首都キーウ郊外のホストメリの空港で起きた戦闘の際、ロシア軍によってムリヤは破壊され、その後、3月末にロシア軍がキーウ近郊から撤退した後、地元ジャーナリストによって、胴体中央部やコックピットが焼失し、無残な姿となったムリヤの写真が世界に配信された。当時、同機は修理中で、事前に離陸させられなかったという。

公開された動画は約45秒で、ウクライナ国内のクリエーター姉妹が作成した。手のひらサイズとなったムリヤが、設計者であるオレーク・アントノフ氏とみられる男性のもとを訪れて涙を流すが、男性に慰められて笑顔を取り戻し、再び空へ飛び立っていくという内容。ムリヤは鳥へと姿を変え、ウクライナの街を飛び回る。動画の最後には「私たちは、ムリヤが復活し、平和なウクライナの空へ飛び立つと強く信じています」とメッセージが添えられている。

ウクライナのアントノフ社 のTwitterより

世界中からムリヤを惜しみ、動画を称賛する声

同社のTwitterには、多くの航空ファンから、ムリヤの破壊を嘆く声や「素晴らしい動画だ」と賞賛のコメントが寄せられている。

日本の航空ファンからも「巨鳥がまた広い大空へ飛び立つことを願います」「好きな機体だったからうるってきた。今までありがとうムリヤ」と破壊を惜しむ声のほか、「日本に大災害が起きた後に物資を積んで来てくれたんですよね。ありがとう!破壊されてしまったなんて悲しいです」といったコメントが寄せられている。同機は2011年の東日本大震災の際、フランスからの救援物資を輸送するため、成田空港に着陸したことがある。

ウクライナ政府は2月28日、公式Twitterに「世界最大の飛行機ムリヤ(夢)はロシアの占拠者に破壊された」と投稿。「私たちは飛行機を再建する。強く、自由で、民主的なウクライナという私たちの夢を実現する」とコメントしている。