画像:shutterstock
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大手企業から中小企業まで給与アップ傾向、平均6,160円上げ 2022年春闘中間集計

連合は2022年5月9日、2022春季生活闘争(春闘)の第5回回答集計を公表した。5月6日時点で3,336の労働組合が回答を引き出し、ベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた全体の賃上げ額は平均で6,160円と前年より813円増加した。賃上げ率は2.10%で、中小企業でも賃上げの流れが続いている。

「人への投資」の観点で有意義な交渉

連合によると、賃上げを要求した組合は4,655組合。5月6日時点で妥結したのは3,330組合(71.5%)で、このうち賃金改善分を含めた回答を得たのは、1,532組合(46.0%)となり、14年の春闘以降最も高い水準となった。

今年の春闘は、コロナ禍からの業績回復を背景に大手企業で満額回答が相次いだ。大手企業の集中回答日を終えた3月18日の集計では平均回答額6,581円、賃上げ率は2.14%と3年ぶりに2%を超えた。

連合の芳野友子会長は「取り巻く状況は明らかに昨年よりもよかった。会社側も企業の中長期的な発展を見据えて『人への投資』の観点に立ち、真摯かつ有意義な交渉が行われた」と交渉結果に一定の評価をしていた。

15年春闘以降で最高の水準に

大手企業の好調な結果が中小企業の交渉の流れに波及するかが注目されていたが、今回の結果を見ると、中小企業でも賃上げの流れが続いていることが分かる。

回答を得た3,336組合のうち、300人未満の中小組合は2,292 組合で、賃上げ額は平均で4,997円、賃上げ率は2.02%。前年に比べ559円増で0.25ポイントの増となった。4月末時点で中小組合の賃上げ率が2%を超えるのは18年春闘の2.02%以来で、連合は「賃上げの流れは、大手企業からしっかりと引き継がれている」としている。

また、ベアと定昇を明確に区別できる1,795組合を見ると、ベア分は1,848円、引き上げ率は0.62%で4月集計分の水準を維持。すべての規模の組合で、前年同時期を上回った。このうち中小組合1,058組合の平均は1,757円の引き上げで、引き上げ率は0.71%。額、率ともに第5回集計時点では、15年春闘以降で最も高い水準となった。

一方、有期・短時間・契約などの雇用条件で働く非正規社員の賃上げ額は、時給で24.54円(前年比同時期比2.66円増)、月給で5,076円(同634円増)。引上げ率は時給で2.39%、月給で2.33%となり、一般組合員を上回った。

賃金以外の労働条件では、勤務間インターバル制度の導入や向上、均等・均衡待遇実現、60歳以降の処遇のあり方の見直し、男性の育児休業取得促進といった内容について、昨年同時期を超える回答・妥結件数となっている。