日立製作所が1日の最低勤務時間を廃止し、「週休3日」も可能な勤務制度を導入すると2022年4月11日、日本経済新聞オンライン版が報道した。「給料を減らさずに週休3日を実現」などと評価する見方がある一方、「フレックスや裁量労働を拡大しただけ」という声もある。今後、他の企業にも同様の制度が広まるか、注目される。
給与を減額せずに柔軟な働き方を実現
12日付の時事通信オンライン版によると、日立製作所はフレックス制と裁量労働制が適用される社員を対象に、1日3.75時間の最低勤務時間を廃止する。これによって、長く働く日を何日か設定することで、全体の勤務時間を変えずに「週休3日」の働き方が可能になる。長い連休を取るために前後の勤務時間を長くすることもできる。
また、勤務時間を柔軟にするだけでなく、働く場所の多様化も進め、年末年始や飛び石連休中に、帰省先の実家や旅行先のホテルからでも勤務できる制度を導入する。
11日付の日経オンライン版によると、パナソニックホールディングスやNECも週休3日を検討しているという。NECは本体の社員2万人を対象に、週休3日制を選べるようにして、グループ会社にも順次広げていく。給与は勤務日数が減った分だけの減額を検討している。パナソニックも22年度中に試験的な週休3日制採用を計画しているという。
週休3日の取り組みは大企業を中心に始まっており、みずほフィナンシャルグループでは2020年度から希望者を募り、週休3日制を導入した。みずほの制度では、日立製作所とは違い、勤務日数の減少に合わせて給与も減額される。
「成果主義」か「フレックス制度の拡充」か
日立製作所の制度は、週休3日でも給与が減額されないことが特徴で、日経では「成果さえ上がれば働く日数や時間にこだわらない経営が日本で広がる可能性がある」と高く評価している。
同紙によると、週休3日制はこれまで、介護などで長時間労働が難しい従業員の就業支援を目的に導入する企業が多く、勤務日の減少にともない、全体の労働時間も減り、賃金も減るのが一般的だった。
しかし、IT技術の発達で産業のサービス化や知識集約化が進み、労働時間と成果は必ずしも比例しなくなり、時間の使い方について従業員に幅広い裁量を認め、成果で評価するような仕組みの整備が企業に求められるようになった。「週休3日も成果重視型の働き方の一つだ」と同紙は指摘する。
こうした評価に対し、Twitterなどでは「労働時間を短縮しないのなら、給与維持は当然ではないのか」「残業代がつかなくなるだけではないのか」といった疑問や否定的な意見が相次いでいる。
経営者で、デジタル庁の人事・組織開発を担当する唐澤俊輔さんは11日、Twitterで「週休3日で給与維持すごい!!!と思いましたが、1日休む分、他の日に長く働くという話でした。フレックスの延長ですね。もちろん柔軟な働き方になるのはとても良いこと!ですが、総労働時間を維持するなら生産性向上には直結しないですねぇ」と指摘。成果重視の制度という見方に疑問を呈した。