ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容)を経営方針に取り入れ、日本社会のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進する企業を表彰する「D&Iアワード 2021」が2021年12月14日に開かれ、大賞を受賞した4企業の取り組みが紹介された。
企業を対象とした日本初のD&I認定制度
D&Iアワードは、障害者雇用の支援事業などを展開するJobRainbow(東京都渋谷区)が創設した日本初のD&Iの認定制度で、今年が1回目となる。企業の取り組みを障害者雇用や育児・介護支援、多文化共生、ジェンダーギャップやLGBT(性的マイノリティ)差別の解消など100項目で採点し、スコアに応じて4種類のランクに格付け。さらに認定企業の中から、特に注目すべき企業を選んで表彰する。
14日の表彰式はオンラインと会場とで行われ、D&I推進に積極的な企業の担当者ら約190人が参加した。会場では、認定企業の発表の後、スタートアップ企業部門、地方企業部門、中小企業部門、大企業部門の4部門で、それぞれ大賞とD&I Award賞の受賞企業を発表。その後、大賞を受賞した4社の取組みが紹介された。
今回、応募があった企業は165社で、認定を受けた企業のうち最高ランクのベストワークプレイス認定は71社。アドバンス認定は62社、スタンダード認定は31社、ビギナー認定は1社だった。
企業内の取り組みや地域社会への啓発を評価
大賞に選ばれた4社は、スタートアップ企業部門のメルカリ、地方企業部門のアンサーノックス、中小企業部門の大橋運輸、大企業部門の積水ハウス。
D&I推進を「Must-have(絶対に必要)なビジネススキル」と捉えるメルカリは、社内の機会損失のギャップを解消するため、メンターシップやコーチングプログラムなどを展開。これまで成長する機会を十分に得られなかった社員がステップアップできる機会を設けたり、復職するメンバーの支援施策を展開したりしていることなどが評価された。マイノリティ向けにソフトエンジニア育成やインターンシップの機会を提供する取り組みも行っている。
積水ハウスでは、社員が主体的にD&Iを推進するために対話を重視。毎年6月をダイバーシティ月間と定め、メンバー間でアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)などについて話し合う機会を設けている。
男性の育休取得にも取り組み、2019年から男性育休取得率100%を継続している。さらに9月19日を「育休を考える日」とし、毎年、産官学連携の「男性育休フォーラム」を開催し啓発にも努めている。
山梨県甲府市で人材サービスや家事代行を手がけるアンサーノックスは、創業時から「誰一人取り残さない」を掲げ、外国籍やシニアのスタッフ採用を積極的に行って、人材のダイバーシティ化に貢献している。地元警察と「災害時の多言語支援協定」を結び、災害時などに外国人らが避難・災害情報を得られるようにする取り組みも行っている。
大橋運輸は男性中心の業界ながら、女性社員の子育て支援から取り組みを始め、LGBT社員の入社をきっかけに、社長が率先してLGBTの知識やサポート方法を学んだ。現在は障害者や外国人の雇用、D&Iなどについて、自治体や他企業とも連携して社会に情報発信している。