小学生のランドセル(イメージ) 画像:shutterstock
小学生のランドセル(イメージ) 画像:shutterstock

ランドセルを軽くする商品に批判コメント1,000件 商品考案した小学生らが実証のためクラファンを開始

2022年4月に発売されたランドセルをキャリーバックのように運べる道具「さんぽセル」をめぐり、大人たちと製品を発案した子供たちの間で論争が起きている。「引いて歩いたらランドセルの意味がない」と批判する大人たちに、子供たちは「大人はあんなに重い荷物を毎日背負って運べるの?」と反論。子供たちはクラウドファンディングで、「さんぽセル」普及への協力を呼び掛けている。

ランドセルに取り付ければキャリーに

さんぽセルは、車輪のついた2本のスティックで、ランドセルの両側に取り付けて使う。スティックは280グラムと軽量で、伸び縮みするため、必要に応じてスティックを伸ばしてキャリーバックのようにランドセルを運ぶことができる。スティックを縮めれば、普通にランドセルとして使える。

製品化した「悟空のきもち THE LABO」によると、さんぽセルは栃木県に住む小学生の双子の兄弟のアイデアをもとに、子供たちが大学生らの協力を得ながら製品化。特許も申請している。

背中に背負うことで両手があき、転倒などによる事故を防げるといわれるランドセルだが、一方で重たいランドセルは成長期の子供に悪影響を及ぼすとも指摘されている。通学時のランドセルの重さは約6キロで、体重20キロの小学1年生にとっては、60キロの大人が18キロの荷物を背負っている状態に相当する。さんぽセルを使ってランドセルを引けば、体感の重さは10分の1になるという。

21年11月に製品を発表したところ、いきなり注目を集めて予約の申し込みが殺到。22年4月から販売を開始したが、約3,000台の注文があり、現在3カ月待ちの状況だという。同社では8月から生産量を5倍程度に引き上げて対応することにしている。

「危険な道具」「楽をする」の批判にきっちり回答、実証へ

幸先の良いスタートを切った「さんぽセル」だったが、製品がニュースとして取り上げられると、ヤフーニュースのコメント欄などに多くの批判的な意見が書き込まれた。同社によると、「両手をあけておかないと危険だ」「坂道で転がったら事故になる」「楽をしたら筋力が低下する」といった意見が多く、批判意見は1,000件を超えた。

これに対し、開発に取り組んだ子供たちは「転んだら、キャリーから手を離すから危なくない。2つの車輪だけで、ランドセルが転がっていくわけがない」「大人たちは毎日、20キロの灯油缶を背中に背負って体を鍛えているの?」などと整然と回答した。

小学生と開発に取り組んだ大学生は「みんな、製品を褒められると思っていました。作った小学生たちは、気持ちよく学校に行きたい。それだけです。今回の出来事を考えると、日本が進歩できない理由はこうしたところにあるんじゃないかと思います。『新しい行動』が、とりあえず批判する勢力につぶされる。こういうの。もうやめましょうよ」と呼び掛けた。

この動きは、TwitterなどSNSで話題となり、「小学生が超絶丁寧に批判コメントに回答していておもしろい」「小学生が自ら考えて製品化までこぎつけたという実績を高く評価すべき」など小学生に好意的な意見が多く見られた。

考案した小学生は根拠のない批判に対抗しようと、小学生の友人に大量のさんぽセルを配って実証するとして、5月30日からクラウドファンディングを開始した。集まった支援金はすべて、さんぽセルの購入代金にあて、小学生らに配るという。

クラウドファンディングはhttps://the-labo.com/sanposeru-crowdfunding.html