画像:shutterstock 東京大学
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東京大学がウクライナの学生や研究者の特別受入れ 支援の寄付を呼びかけ

東京大学は2022年3月30日、ロシアによるウクライナ侵攻で、安全に学んだり研究したりできなくなった学生や研究者を一時的に受け入れると発表した。あわせて、東京大学緊急人道支援基金を立ち上げ、学生や研究者らを支援するための募金を呼びかけている。

国籍問わず受け入れ、生活支援金も

東京大学によると、受け入れるのは大学生や大学院生、研究者で、ロシア侵攻によって教育や研究の場を失った人であれば国籍は問わない。期間は1年間を見込んでいるが、情勢によっては延長することもある。

学生は学位取得を目的としない非正規生という立場だが、各学部や研究科が受け入れプログラムを作成。プログラムに沿って、教員による研究指導などが受けられる。研究者は無給での受け入れとなるが、研究活動が続けられるよう大学がサポートする。受け入れには審査があり、専門分野や要件が一致しない場合、受け入れられないこともある。

受け入れが決まった学生・研究者に対しては渡航費用の実費を支給し、在留資格取得を支援。経済面では、大学宿舎を無償で貸与し、生活支援金として月額8万円(予定)を最大1年間支給する。日本語クラスの授業やカウンセリングも受けられるようにして、生活面でも支援していく。

「ロシアによる侵攻受け入れられない」と東大総長

東京大学は受け入れた学生や研究者の支援に充てるため「緊急人道支援基金」を設け、募金の呼びかけも始めた。集まった募金は、渡航費や生活支援金の支給のほか、問い合わせ窓口の設置、各種生活支援に使われる。寄付の募集期間は7月31日まで。

基金の開設にあたり、東京大学の藤井輝夫総長は「ロシアによるウクライナへの侵攻は、武力によって一方的に現状変更を行おうとするものであり、到底、受け入れられるものではない」とのメッセージを発表した。

藤井総長は学生らの受け入れについて、「初めての取組みであり、手探りで進めることになるが、このような事態に対して日本の大学として具体的な行動を興していきたい」としたうえで、「自らの財源を活用して支援プログラムを実施するが、必要な支援を行うには自主財源だけでは十分ではない。一人でも多くの、困難に直面している学生や研究者を援助するために支援や協力をお願いしたい」と呼びかけている。

ウクライナ学生受け入れ表明の大学はほかにも

同様に学生らの受け入れを表明している大学はほかにもあり、長崎大学は3月18日に県や長崎市の協力も得て、大学院生や学部学生40人程度を受け入れることを明らかにした。私立大学でも東京の国際基督教大学や東洋大学のほか、日本経済大学(福岡県)、関西国際大学(兵庫県)などが学生の受け入れを表明している。

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