笹川スポーツ財団は2022年4月4日、国内の幼児から青少年を対象に、スポーツの取り組み状況を調査した結果を公表した。中学・高校生の部活動では、2017年の調査に比べて土日での活動日数が大幅に減少。部活動での休養日の設定を求めたスポーツ庁のガイドラインの効果が見られた。
「土日とも活動」の回答が大幅に低下
同財団では2年ごとに、4歳から21歳までの男女を全国から抽出し、スポーツの「実施頻度」や「実施時間」、「運動強度」などを調査している。今回は2021年6月から7月にかけて調査を実施した。
調査では、運動部に所属している中学・高校生に土曜・日曜日の活動状況について質問。その結果、中学生で「土日とも活動している」との回答は14.5%、高校生では36.4%。逆に「土日とも活動していない」は中学生が6.3%、高校生で11.1%だった。
この結果を2017年の調査と比較すると「土日とも活動している」が中学生で32.9ポイント低く、高校生でも20ポイント低かった。「土日とも活動していない」は中学生で0.7ポイント、高校生で4.2ポイント高かった。
また、新型コロナの感染拡大による運動やスポーツの実施率への影響はほとんどみられなかった。12歳から21歳にスポーツを行う頻度を尋ねたところ、「過去1年間まったく運動・スポーツをしなかった」という割合は19.7%で、2019年の21.7%より減少。財団は「新型コロナウイルス感染拡大によって学級閉鎖や部活動の中止などがあったが、状況に適応しながら運動・スポーツ、運動遊びを行っているのだろう」と分析している。
週2日以上の休養日を求める
運動部の活動については、過度な活動が子供たちのけがや障害の原因となっているなどの課題が指摘され、スポーツ庁は2018年に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定した。
ガイドラインでは「成長期にある生徒が、運動や食事、休養・睡眠のバランスがとれた生活を送れるよう、部活動に休養日を設ける」との基準を示した。
それによると、学期中の部活動では、週のうち平日に少なくとも1日、週末の土・日にも少なくとも1日と、週に2日以上の休養日を設定。1日の活動時間も、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日には3時間程度としたうえで、「できるだけ短時間で合理的、効率的、効果的な活動を行う」ことを求めている。
また、休養目的だけでなく、生徒が部活動以外にも多様な活動ができるよう、ある程度長期のオフシーズンを設ける必要性も示した。
こうしたガイドラインが浸透していることは今回の調査からも見て取れ、財団では「2019年の調査に引き続き、活動日数の短縮化が進んでいる。特に中学校でガイドラインに沿った活動を行う学校が増えている状況が確認できる」としている。
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