画像:shutterstock サプライチェーン
画像:shutterstock サプライチェーン

FRONTEOがサプライチェーン解析の技術で特許査定を取得 国際取引のリスクを発見

AIによるデータ解析サービスを手がけるFRONTEOは2022年2月8日、同社の「サプライチェーンネットワーク解析ソリューション」のために開発した技術が、特許庁から特許査定を受けたと発表した。

日本初のサプライチェーン解析システム

サプライチェーン解析ソリューションは、投資家情報や有価証券報告書など一般公開されている情報をもとに、国際的なサプライチェーンネットワークを解析するシステム。特定の企業同士の関係を抽出でき、取引先企業の中に他の国の制裁リスト対象企業や人権問題を抱えている企業、そうした企業と密接に関連している事業が含まれていないかを確認できる。

また、国際的な経済ネットワークの中で、戦略的に重要な地点(チョークポイント)がどこにあるかを把握することも可能になる。

同社では2021年6月に「サプライチェーン分析ソリューション」の提供を開始。同年10月にはこの解析システムとAIを組み合わせて、企業のサプライチェーンを分析し、軍事・人権リスクの有無などを評価するサービスを展開している。

取引上の軍事・人権リスクへの対応が不可欠に

海外企業との間で輸出入を行う際は、軍事転用可能な技術や製品の輸出に対する国際的な規制に従う必要があるが、近年は、企業活動において児童労働や強制労働、差別など人権問題に対処する人権デューディリジェンスも求められるようになった。

人権デューディリジェンスは2011年、国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されたのを機に、欧米諸国を中心に取り組まれるようになった。指導原則では、企業に対して、人権方針の策定や人権デューディリジェンスの実施・運用、人権問題の救済メカニズムの構築・運用を求めている。特にヨーロッパでは人権デューディリジェンスを法制化する動きがあり、人権問題に無関心であることは経営のリスクとなる。

こうした国際的な流れに対応するため、企業では自社だけでなく取引先のサプライチェーンの健全性も調べる必要がでてきているが、実際に調べようとしても、多大な時間とコストがかかり、せいぜい2次から3次先くらいしか調査できない。

しかし、同社の解析サービスを使えば、短期間に低コストで10次先の取引先までサプライチェーン全体を把握できるという。この中に他国の制裁リスト対象企業や人権上の問題を指摘されている企業が含まれていれば、適切に対処できる。

特許査定を受けたことについて、同社は「この技術を搭載したソリューションが、オープンソースから得られる情報をもとに、人の力では簡単に発見できないチョークポイントや、企業間の潜在的なつながりを見出せる日本初の解析システムであると認められたことになる」としている。