Be-A(ベア)Japanとミツフジは2022年6月23日、「経血量を計測できる吸水ショーツ」を共同開発するために業務提携したと発表した。女性の経血量を計測することで、女性特有の病気の早期発見などにつなげるほか、データを収集して医学研究に役立てることも検討している。
高吸収力ショーツとウエアラブルデバイスの技術を融合
Be-Aは女性用下着や生理用品を製造販売。通常のショーツより経血の吸収量が多いため生理用ナプキンが不要で、繰り返し洗って使える生理用ショーツが注目を集めている。クラウドファンディングでは、100万円の目標に対し、9,062人の支持者から1億239万円余りを集金して話題となった。
一方、ミツフジはもともと、京都の西陣織のメーカーで、身に付けるだけで呼吸数や心拍数などの生体情報を収集する衣料を開発。熱中症対策や体調管理に活用されている。
両社によると、今回のプロジェクトのために福島県川俣町と協定を結び、川俣町の協力も得ながら福島県を拠点に開発を進める。Be-A の吸収力の高い生理用ショーツに、ミツフジが持つ生体情報の収集技術を組み合わせ、世界初の女性向けショーツ型ウエアラブルデバイスの実用化を目指す。通常の下着と同じ感覚で着用でき、着用したまま継続的な計測とデータの蓄積が可能なものを想定しているという。
体調管理のほか医学研究への活用も
経済産業省が2019年に公表した「健康経営における女性の健康の取り組みについて」によると、日本では、女性の月経随伴症状による年間の労働損失は4,911億円、社会経済的負担は総額6,828億円に及ぶと試算されている。
女性が働くうえでの支障にもなりかねない月経痛や月経前症候群だが、研究が進んでいるとはいえず、経血量を測定した最新のデータは15年前のもので、約180人の女性の使用済みナプキンを測定するという方法でデータを収集したとされる。このため両社は、生理を新しい視点でとらえるため、「経血量を計測できる吸水ショーツ」が必要だと考えた。
Bé-Aの医療アドバイザーを務める宗田聡医師によると、女性が自分で経血量を客観的、継続的に測定することで、体調の変化などを把握でき、女性疾患の早期発見にも役立つと考えられる。また、多くの女性の経血量を継続的に測定しビッグデータとして蓄積できれば、医学的な発見につながる可能性もあるという。
Bé-Aとミツフジでは、「両社の思いと技術を結集させ、早い段階で病気の予測ができるウェアラブル製品を、女性が健康で幸せに生きていくためのフェムテックとして発展させていきたい。世界中の女性に貢献していくことを使命に、一丸となってプロジェクトを推進していく」などとしている。