女性医師によるオンライン診断(イメージ) 画像:shutterstock
女性医師によるオンライン診断(イメージ) 画像:shutterstock

福利厚生サービス「低用量ピル服用サポート」提供スタート 生理のつらさ軽減し効率アップ

女性の多くが経験しているであろう「生理の悩み」。この問題の解決手段の一つとして「低用量ピル」があるが、服用後の体調変化や金銭的負担から、なかなか普及が進まないようだ。そんな中、mederi株式会社が勤務先の会社の福利厚生として低用量ピルを利用できるサービス『mederi for Biz』を開始したと2022年5月24日に発表した。もともとmederi株式会社が提供していたオンラインピル診療サービスをもとに福利厚生用にパッケージとした形。この一部料金を会社が負担する仕組みだ。

3つのサポートメニューで働く女性と企業の力に

『mederi for Biz』には、具体的に3つのサポートメニューがある。産婦人科医監修のもと、月経困難症やPMSなどの正しい知識を学ぶことができる「ウェルネスセミナー」、現役の産婦人科医師による「オンライン診療」、一人ひとりの悩みや体質に合わせた「ピル処方」、これら3つのサービスを導入する企業の希望によってカスタマイズできる。

低用量ピルは、生理に悩む女性の救世主となる一方で、毎日必ず服用し続けなければならない負担感もある。膨らむ購入費用や通院費用、また副作用による不安も付き物だ。服用中は気軽に相談できる専門家の存在がいることが望ましい。『mederi for Biz』によって得られる安心感は大きいものになるだろう。

また導入した企業も、女性社員たちのパフォーマンスが向上したり、キャリアアップに積極的になれる体制を作ることで、企業全体の労働力の底上げを期待できるのではないだろうか。

「生理の悩み」による労働損失は年間4億円以上

社会では女性の活躍促進を謳っているが、それには「生理の悩み」を早急に対策する必要があるかもしれない。実際に働く女性たちの中で、生理に伴う腹痛・イライラ・仕事の生産性低下などの症状に苦しむ人は多く、その不安が払拭できなければ離職を考える人もいるようだ。

こうした現状は厚生労働省が発表している『健康経営における女性の健康の取り組みについて』(平成31年3月調査)からも伺える。この調査では、月経随伴症状(月経前・月経中に起こる腹痛、腰痛、眠気、イライラなどの諸症状)による労働損失は、年間4,911億円になると説明。

女性社員の声が、職場環境を変えるきっかけに

「私の勤務先の経営陣は、こうした問題に関心がない……。」と諦めモードの人もいるかもしれない。しかし『mederi for Biz』を導入を決定した企業は、女性社員が声をあげたことにより、経営陣を動かし、導入に至ったケースもある。

IT企業の『CARTA HOLDINGS』では、女性社員の提案により『mederi for Biz』の導入が決定した。同社は「女性特有の症状による健康課題の改善により、共に働く全ての社員にとっても働きやすい環境づくりを推進すると考えています。」とコメントしている。また化粧品口コミサイト『@cosme』を運営する『アイスタイル』においても、社内アンケートで「体の悩みなどを気軽に専門家に相談できる場を設けてほしい」といった意見が寄せられ、導入に至ったという。

低用量ピルが福利厚生になる時代。経営陣が率先してアプローチすることはもちろん、生理に悩む当事者たちが声を出すことも、働きやすい会社文化をつくるうえで重要なアクションになっていくはずだ。