北京オリンピック会場
画像:shutterstock 北京オリンピック会場

北京五輪への“外交的ボイコット”のインパクトは? 米に追従する国・しない国

2022年2月4日、北京で冬のオリンピックが始まる。「外交的ボイコット」が話題になったが、各国メディアがこれまでどう報じてきたのか、論評について調査した。

外交的ボイコットをめぐり各国の態度は…

昨年暮れ、アメリカが「外交的ボイコット」を表明して以降、オーストラリア、イギリス、カナダ、ニュージーランド、ベルギーなどが追随。台湾をめぐって中国と緊張が続くリトアニア共和国も外交的ボイコットを表明している。アメリカなどが新疆ウイグル自治区や香港における中国の人権侵害をボイコットの理由に挙げるのに対し、台湾との間で相互に外交事務所を開設して中国の反発を買ったリトアニアは多少事情の違いはあるものの、中国に物申す姿勢は変わりがない。

一方、2024年夏のオリンピックをパリで開くフランスは、マクロン大統領の開会式出席をはじめ、通常対応を表明している。イタリアも同様の構えだ。

アメリカに反旗は翻したくないが中国とも対立できない日本政府は、「閣僚や政府関係者は派遣しない」ことを決定したものの、前東京五輪担当大臣の橋本聖子が同じタイミングで開かれる国際オリンピック委員会総会に出席するために北京に向かう。

「インパクトはゼロに等しい」AP通信

この問題をめぐって、各国メディアは様々な論評を掲載してきた。イギリスBBCニュースは「北京五輪の外交ボイコット、効果はどれくらいあるのか」と題して解説記事を掲載。冷戦期の1980年のモスクワ五輪、それに続く1984年のロサンゼルス五輪のような選手団を派遣しない「完全なボイコット」に比べると、政治的なインパクトは限定的だとする意見や、世界のスポーツ界が1970年代から80年代にかけてアパルトヘイト(人種隔離政策)を続けた南アフリカ共和国をボイコットの対象としたのは、その後の南ア共和国の推移を見れば意味があるとの意見を紹介している。

BBCニュース記事

AP通信は解説記事の中で、「(外交的ボイコットという)政治的武器が選手たちに与えるインパクトはゼロに等しく、テレビ観戦する人々にとっても、放送される試合内容に何の変化もない」とし、「政治的ボイコットの目的は、オリンピックやサッカー・ワールドカップといった世界的イベントを頻繁に政治的に活用するホスト国・中国のプライドを傷つけることである」と書いている。さらに「政治的中立」を標榜しながらも、「世界政治における自らの立ち位置に常に敏感な」IOC幹部も痛みを感じているだろう、とも。この記事はまた「そもそも各国元首がオリンピックに参列する義務はない」とも書いている。

中国新華社通信は「筋違い」と

中国新華社通信(英語版)も、まさにこの観点から皮肉を返す。「オリンピックから政治を切り離せ」と題する記事の中でこう書いている。「政治的ボイコットによってアメリカの政治家たちが中国から何らかの妥協を迫ることができると考えるのはあまりに希望的すぎる。そもそも、選手団に政治家の同伴を依頼するのは各国のオリンピック委員会であって、ホスト市やホスト国が招待状を出すものではない。従って、外交的ボイコットをするというなら、それは自国のオリンピック委員会の否定であって、中国とはなんら関係がない」。

中国新華通信記事

かつて「平和の祭典」と称えられたオリンピックの政治利用は、この先どうなっていくのか。APの解説は、2028年夏のロサンゼルス五輪、2032年夏のブリスベン五輪に中国はどのような対応をしてくるか、あるいは2002年に続き二度目の冬の五輪開催に名乗りを挙げるソルトレイク市がIOCの支持を得られるのだろうか、と今後注目すべき点を教えてくれている。