ミャンマーで拘束された久保田徹さんの即時解放を求める署名サイトchange.org
ミャンマーで拘束された久保田徹さんの即時解放を求める署名サイトchange.org

ミャンマー取材中に拘束されたドキュメンタリー制作者久保田さん解放して署名活動

ドキュメンタリー制作のため、軍政下のミャンマーで取材をしていた日本人、久保田徹さんが2022年7月30日、デモの制圧にあたっていた治安当局に拘束された。現在、久保田さんは扇動罪などで訴追され、現地で裁判を受けている。ドキュメンタリー作家仲間らは、オンラインでの署名活動を開始し、日本政府に解放に向けた働きかけを要請している。

国軍への抗議デモを取材中に拘束

久保田さんの知人らが立ち上げたオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」の記事によると、久保田さんは7月14日にミャンマーの首都ヤンゴンに入り、撮影などを行っていた。30日の夕方、デモを取材中に現地警察に拘束されたという。

翌31日に、久保田さんが拘束されたと現地メディアが報道。現地では、国軍への抗議デモに参加していたところを、ミャンマー人2人とともに拘束されたと報道されている。

8月17日付読売新聞オンライン版によると、久保田さんは扇動罪と入国管理特例法違反で訴追され、ヤンゴンの刑務所以内にある特別法廷で非公開の審理が行われている。さらに、電子通信に関する法律違反でも訴追される可能性があるという。

ミャンマー国軍の報道官は17日の記者会見で、「法は順守されなければならない」と語り、

拘束が長引く可能性があることを示唆したという。

大学時代からミャンマーの少数民族問題に関心

署名サイトの記事によると、久保田さんは1996年生まれ。慶応大学在学中にミャンマーの少数民族、ロヒンギャの難民問題の取材をはじめ、ドキュメンタリーを制作。それ以来、Al Jazeera EnglishやNHK World、VICEなどの国際メディアにてディレクターやカメラを担当してきた。

ミャンマーでは2021年4月にも、フリージャーナリストの北角裕樹さんがヤンゴンで逮捕され、虚偽ニュース流布などの罪で起訴された。その後、日本政府などの働きかけを受けた国軍が、同年5月に北角さんを解放。無事帰国した。

今回の久保田さんの拘束について北角さんは「治安当局が彼を暴力的に拘束したとのレポートもあるので、拘束時に負傷していないか心配。日本にいる人ができることは、署名活動などを通して外務省が動かざるを得ない状況を作ることと、彼が帰ってきたときに、温かく迎えてあげられるような雰囲気を作ることだと思う」などと話している。

友人らはこれまで、久保田さんの解放を求めて日本記者クラブで会見したほか、8月5日には署名を外務省に提出するなど、政府や国会議員への働きかけを続けている。