総務省は2022年3月29日、同年2月の労働力調査の結果を発表した。完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1ポイント下がり2.7%となったが、職探しをやめた人が増えたのが主な原因とみられ、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いている。
就業者数は前年より35万人減少
完全失業率が低下するのは2カ月ぶり。また、厚生労働省が同日公表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.21倍だった。
雇用統計によると、2月の就業者数は6,658万人で、前年同月比で35万人の減少、5カ月連続の減少となった。完全失業者数は180万人で、前年同月比で15万人減少し、8カ月連続の減少だった。一方で非労働力人口は、4,215万人と前年同月比で14万人増加した。これは2カ月連続の増加で、新型コロナ禍で求職活動をとりやめた人が多いのが原因とみられる。
実際、厚労省によると、2月の有効求人数は0.2%減少したのに対し、有効求職者数は1.4%の減少で、求職者の減少幅が求人数の減少幅を上回ったのが、有効求人倍率の改善の理由だった。
特に2月は多くの都道府県で「まん延防止等重点措置」が適用されていたことも求職者の減少につながったとみられる。新型コロナ禍では、仕事を持ちながら休んでいる「休業者」の数が感染者数の増加に合わせて増えるのも特徴で、2月は休業者も242万人となった。特に「宿泊業・飲食サービス業」では前月から8万人増え、30万人となった。
こうした状況について、後藤茂之厚労相は29日の記者会見で「現在の雇用情勢は求人に持ち直しの動きが見られるが、求職者が引き続き高水準にあり、厳しさが見られる。有効求人倍率が1倍を下回る地域があるなど、新型コロナウイルス感染症の影響に、より一層注意する必要がある」などと述べた。
宿泊・飲食業の就業者はコロナ禍前より51万人の減
新型コロナウイルス感染症拡大の終息がなかなか見えず、雇用情勢の回復が進まない。2022年2月1日に総務省が発表した2021年の労働力調査結果によると、2021年平均の就業者数は6,667万人と前年比で9万人減少し、2年連続の減少となった。
新型コロナ感染症が拡大する前を振り返ると、それまでは人手不足から求人が増え、就業者数も右肩上がりだった。2022年2月2日付日本経済新聞ウエブ版によると、就業者数は2013年から増加に転じ、19年には6,724万人に達した。当時は有効求人倍率が1.5倍を超えていた。
特にコロナ禍の影響を受けているのが、宿泊・飲食業や、理美容や映画館などを含む生活関連サービス・娯楽業で、19年に比べると宿泊・飲食業の就業者は51万人、生活関連サービス・娯楽業も17万人減少した。
また、2022年2月の調査結果では、卸売業・小売業が前年同比で46万人減少、教育・学習支援業も20万人減少しているのも気になるところだ。
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