米軍普天間飛行場移設の是非が争点の1つとなった沖縄県名護市の市長選挙で、移設反対を訴えた新人候補が、自民・公明の推薦を受けた現職に敗れた。この選挙をめぐり、地元テレビ局が報道した「年代別投票先」で、高齢者層と若年層ではっきりと傾向が分かれたことが話題となっている。20代の8割が現職支持という結果に、Twitterなどでは「オール沖縄は、もはやオールド沖縄」という声が上がった。
沖縄の若い世代の「オール沖縄」離れが如実に
国が普天間飛行場の辺野古移設案を決めたのは1997年だが、その後沖縄では、「辺野古移設の是非」が選挙のたびに大きな争点となっている。元自民党沖縄県連幹事長で、那覇市長や県知事を務めた翁長雄志氏は「移設反対」を訴え、保守や革新を結集するために「オール沖縄」のスローガンを掲げた。2014年に翁長氏が県知事に当選した後は、沖縄では「自・公」対「オール沖縄」という政治状況が続いている。
今回の名護市長選挙も自・公が推薦する現職に対し、オール沖縄が推す新人という構図となったが、投開票当日、地元の沖縄テレビが開票速報番組の中で紹介した「年代別の投票先」の結果が衝撃的だった。
これは期日前投票での出口調査の結果だが、70代・80代では移設反対を訴える新人候補に投票した割合が高かったものの、60代になると現職候補に投票したという人の割合が高くなり、年代が下がるにつれ差が拡大。20代になると、81.9%が現職に投票したという結果になった。新人候補に投票したという割合が最も高かったのは80代の72.1%で、高齢層と若年層との間で全く逆の結果となった。
他の年代で現職に投票した割合を見ても、30代では76.5%、40代63.2%、50代62、5%と50代以下だけを見ると、現職が圧倒的な支持を受けていた。この調査は期日前投票者だけを対象としているため、全体の傾向を反映しているとは言えないが、それでも若い世代の「オール沖縄」離れが見て取れる。Twitterでは、「若者世代は米軍基地反対闘争より、就職、福祉や教育の充実などの生活に密着した政策を求めているのでは」と分析する声もあった。
新聞各紙も「オール沖縄の退潮」を取り上げ、24日付けの日本経済新聞は大石格編集委員が「移設反対派のオール沖縄の新人は4年前の前回選の候補よりも15%も得票を減らしており、勢力の退潮が鮮明になった」と指摘。地元紙の琉球新報も24日のオンライン版で「『オール沖縄』勢力の退潮が鮮明となった。保守系や経済人が相次いで離脱してきたオール沖縄は、自民、公明の巻き返しを止められずにいる」と報じた。