IPACサミットに向かう音喜多駿議員、菅野志桜里、桜井周議員菅野志桜里Twitterより) ©菅野志桜里
IPACサミットに向かう音喜多駿議員、菅野志桜里、桜井周議員菅野志桜里Twitterより) ©菅野志桜里

「中国の台湾侵攻10年以内にありうる」対中国政策を民主主義50か国が議論〈IPAC〉

世界の民主主義と人権を守るため、どう中国に向き合っていくのかを、各国の国会議員が話し合うIPAC(対中政策に関する列国議会連盟)が2022年9月13、14日の2日間、米・ワシントンで開かれた。日本からは「人権外交を超党派で考える議員連盟」に所属する国会議員3人舟山康江、音喜多駿、桜井周(敬称略)と菅野志桜里(弁護士/The Tokyo Post編集長)が参加。会議では、台湾とウクライナを支援し、人権擁護や民主主義の強化を訴える共同声明を採択した。

ウクライナ侵攻背景に台湾有事への懸念高まる

IPACは2020年6月、人権や公正な取引、安全保障など対中国政策に関わる課題に、民主主義国家が協力して取り組んでいくために発足した。今回の会議は、マルコ・ルビオ米上院議員(共和党)、ロバート・メネンデス上院議員(民主党)をホストに、日本やイギリス、オーストラリア、EUなど30の国と地域の国会議員ら50人以上が参加。ウクライナの国会議員も初めて参加した。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、参加者の多くは「中国が台湾に対して武力を行使する可能性が高まっている」などと危機感を募らせており、ほとんどの参加者が台湾海峡の緊張を意識した発言をしていたのが今回の特徴。中国と台湾の関係や新疆ウイグル自治区での人権抑圧などについて、活発な議論が交わされた。

中国は「国際機関を自国の利益に利用した」

日本から参加した舟山康江参議院議員(国民民主)はオープニングスピーチで「(中国は)『西洋の価値観を押し付けられたくない』と非難することがあるが、普遍的人権は西洋の専売特許ではない」と発言。

メネンデス上院議員は、欧米が中国との貿易・経済関係を強化すれば、北京が米国主導の国際システムに対応すると考えていたことが問題だったと指摘。「中国は国際機関などから招待を受けたが、残念ながら、それを自国の利益のために利用した」と、中国の国際社会での振る舞いを批判した。

また、台湾と中国の関係について、ルビオ上院議員は、「この先10年の間に、台湾で何らかの事態が起きないということはあり得ないと思う」と中国がいつ行動を起こしても不思議ではないと指摘。台湾の立法院議員である范雲(ファン・ユン)氏は「台湾を支援することは、台湾だけの問題ではなく、グローバルなハイテク・サプライチェーンのためだけでもない。あなたたちの国、あなたたちの国民、あなたたちの民主的生活様式に関わることだ」と台湾への支援を呼びかけた。

ウクライナ国会議員、オレクサンドル・メレシュコ氏は、「中国は中立だと主張しているが、中立ではない」と述べ、ウクライナ侵攻での中国の主張を批判。「北京がロシアの石油を購入し、ウクライナ支援の国連決議に反対票を投じることは、モスクワの西側制裁の回避につながる」と訴えた。

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