まん延防止措置は「安易な行動規制」と菅野編集長 経済界からも懸念の声

新型コロナウイルスへの対応をめぐり「政府が蔓延(まんえん)防止等重点措置を適用する方向となった」とメディアが一斉に報じた2022年1月18日、『The Tokyo Post』の菅野志桜里編集長はツイッターで、政府の対応を「安易な行動規制」と批判。「行動規制には国会承認と損失補填が必要」と与野党に法整備を求めた。

行動規制には国会承認と損失補償が必要

菅野編集長は18日午前、「国会承認も損失補償もいらないから、安易な行動規制がなお続く。だって行政からすれば、説明責任という労力も、損失に見合うだけのお金もかけず、コスト不要でコロナ対策感が出せるのだから」と投稿。さらに、「まん延防止や緊急事態宣言を出して国民に行動規制をかけるには、国会承認と損失補償(協力金では裁量広すぎ)が必要。今国会、そういう当たり前の特措法改正案を出す政党があって然るべしだと思います。医療体制抜本強化のための感染症法改正案とセットでお願いしたい」と、補償をともなう行動規制を法律で定めるよう与野党に訴えた。

感染力の強い新変異株「オミクロン株」の感染者が全国で急速に増加するなか、政府は重点措置の適用を検討。19日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、岐阜県、愛知県、三重県、香川県、長崎県、熊本県、宮崎県に重点措置を適用すると決めた。期間は1月21日から2月13日までで、ワクチン接種証明書か陰性証明書を提示すれば飲食店やイベントの行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」は原則として一時停止される。

 経済界からは経済対策へのシフト求める声

新型コロナの感染者が増えるたびに求められる行動制限に対し、飲食店や観光・娯楽施設などでは経営的に疲弊しているところも増え、損失補償を求める声も多い。また、オミクロン株は感染力が強いものの、重症化するリスクが従来の株に比べて低いとの指摘もあり、重点措置の適用に疑問の声もある。

18日に記者会見した経済同友会の櫻田謙悟代表幹事は、重点措置について「重症化率はインフルエンザよりも低いかもしれないと言われている中、なぜ、まん延防止等重点措置なのか、政府はしっかりとした説明が必要だと思う」と懸念を示した。 さらに「イギリスやフランス、アメリカは経済活動に軸足を置きつつある。日本の経済が世界に比べて遅れている中、鎖国的な入国管理規制を含めて、可能な限り早く、規制措置を緩めていくことが大事だ」として、経済対策に重点を置くよう求めた。