ウクライナでロシアが実効支配するクリミア 画像:shutterstock
ウクライナでロシアが実効支配するクリミア 画像:shutterstock

ウクライナがクリミア半島奪還作戦を展開中か 爆発が続き在留ロシア人が避難

ロシアが2014年に一方的に併合を宣言し、実効支配を続けるウクライナ南部クリミア半島で2022年8月以降、ロシア軍施設付近で爆発が相次いでいる。ロシア軍は事故などとし、被害の詳細を明らかにしていないが、クリミア奪還を目指すウクライナの作戦の一環という情報もある。

ロシア軍関連施設で爆発が相次ぐ

ニューズウィーク日本語オンライン版(8月17日付)の報道などによると、8月9日、クリミア半島西部にあるロシア軍サキ航空基地で立て続けに爆発が起きて、ウクライナ当局によると戦闘機9機が破壊された。

16日にもクリミア半島北部のジャンコイや中心都市シンフェロポリ近郊の軍用空港でも爆発があった。ロシア国防省は「ウクライナの破壊工作だ」としたものの、火災は発生したが重傷者はいないとしていた。

18日の爆発はクリミア半島のベルベク空軍基地付近で、少なくとも4回発生した。ロイター日本語オンライン版(19日付)によると、ウクライナのニューサイトには、ロケット弾のようなものが夜空を飛翔している映像が投稿されている。

ロシア側はロシア対空部隊がウクライナの無人機を撃墜し、被害はなく、負傷者も出ていないとしているが、20日ロイター通信は、クリミアからロシアに避難しようとする車の渋滞ができていると報じており、市民に不安が広がっている可能性を指摘している。

CNNが「当局者から報告書を入手」と報道

CNNは18日、クリミア半島のロシア軍施設で相次いでいる爆発について、ウクライナが関与していたことが同国政府の内部報告書から明らかになったと報じた。ウクライナの当局者から報告書を入手したという。

報告書によると、9日のサキ航空基地について、「クリミア半島のロシア軍インフラにとって手痛い損失だが、単発的なものにとどまる」と説明。軍用機が少なくとも7機が破壊されたほか、基地は著しく損傷し、少なくとも1人が死亡したという。

9日の爆発について、ロシア側は事故の結果だと主張し、ウクライナ当局者も公式に関与を認めていない。

CNNは、一連の攻撃はロシア占領地域で抵抗運動が生まれ、破壊活動を行っているとみられるタイミングで起きたと指摘。ウクライ当局者の話として、「先日もロシアがクリミアからの軍装備品や兵器の輸送に使っている南東部メリトポリの鉄道橋をウクライナのパルチザン(抵抗運動)が爆破した。メリトポリはここ数カ月、占領に対する地下抵抗運動の中心となっている」と伝えている。

10日付時事通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は9日の爆発後、ビデオ演説し、クリミア半島の奪還を目指すことを宣言。ゼレンスキー大統領は、演説の中で「ウクライナと欧州全体に対するロシアの戦争はクリミアで始まった。それはクリミアの解放で終わらねばならない」と訴えていた。

ウクライナが南部クリミア半島奪還のために立ち上げた国際会議「クリミア・プラットフォーム」第2回会合が本日23日オンライン開催される。