高市早苗経済安全保障担当相は2022年8月15日の閣議後の記者会見で、内閣改造で入閣したことについて「つらい思いがある」と述べたと報じられた。自身のTwitterでは、霊感商法対策を強化する宗教法人法改正に取り組んでいたことを明らかにし、「入閣でお蔵入りになった」とも発信。菅野志桜里編集長より、高市氏に法案の公表を提言する。
前任者の留任を要請し、いったんは辞退も
高市氏は14日にTwitterで「組閣前夜に岸田総理から入閣要請の電話をいただいたとき、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いした」と発信。小林前経済安保担当相の留任を要請し、いったんは入閣を辞退したことを明かし、「今もつらい思いでいっぱいです」などとつづった。
15日の産経新聞オンライン版によると、高市氏は会見でツイートの真意について聞かれ、「小林前担当相のことが頭をよぎった。小林氏が一生懸命やってきたことなので留任していただいたほうがいいと(岸田文雄首相に)申し上げた」と説明。そのうえで、「つらい思いはまだあるが、お役をいただいた限りは全力で働く」とも語った。
また、Twitterでは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関係のある「世界日報」が発行する月刊誌に対談が掲載されていたことを、入閣要請の際、岸田首相に報告したことを明かし、入閣に変更がなかったことに戸惑ったとも書き込んでいた。
「宗教法人法改正」断念に無念の思い
高市氏のTwitterによると、高市氏は安倍晋三元首相が狙撃された事件を受け、参院選後に「宗教法人法」とフランスの「セクト規制法」を読み込み、宗教関係の霊感商法対策として「宗教法人法改正案」の概要をまとめていたという。しかし、党の文部科学部会長に検討を依頼する前に、内閣改造が決まり政調会長を辞めることになったという。
さらに、経済安保担当相に就任することになったことで、宗教法人法は文部科学省・文化庁の所管であり、閣僚は議員立法案を出せないため、「(改正案は)残念ながらお蔵入り」になったと無念さをにじませた。一方で、河野太郎消費者担当相が、消費者庁に霊感商法検討会を立ち上げることを表明しており、その成果に期待を寄せた。
月刊誌の対談については、2001年に政治評論家の誘いで応じたといい、旧統一教会に関連する媒体だとは知らなかったと説明。
「これまで、他県のミニコミ紙でも、読んだことがない専門誌でも、取材依頼や原稿依頼があれば、対応して発信することが国会議員の責務だと勘違いしていた」とし、今後は知らない媒体からの依頼は全て断るとした。
●高市議員がカルト対策の宗教法人改正案の概要をまとめたとのこと。まさに今社会が必要としている議論のたたき台として、ネットで公開すべきだと思う。なぜなら、国政調査権や法制局の知見を利用して作られた法案は私財ではなく公共財。属人的なものじゃないので、ご自身が大臣になったらお蔵入りというのは違和感がある。そして、この公共財をネットで公開し、専門家や各政党の議論のたたき台とすれば、内容をブラッシュアップできるし、超党派で合意形成するための貴重な土台になるはずです!ご自身がここまでオープンにしたのだから、今は大臣だとしても、政調会長時にまとめた私案だとして公開することになんら問題はない。ハレーションがあったとしても自民党の内輪の話。社会はついてくると思いますよ!(菅野志桜里)