広島平和記念公園 画像:shutterstock
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2023年のG7広島サミットに向け政府と地元が準備本格化 要人警護も課題に

2023年5月に広島で開かれる主要7か国首脳会議(G7サミット)に向けて、外務省は2022年7月15日、「G7広島サミット事務局」を大臣官房に設置した。会場や宿泊施設の確保などの準備作業を本格化させていく。安倍晋三元首相が銃撃され死亡する事件が起きたばかりでもあり、これまでに以上に警備態勢の構築も重要となる。

「核の惨禍を二度と起こさぬ」と世界に示す

23年のG7サミットについては、22年6月のサミットで岸田文雄首相が、広島を会場に、5月19日から21日までの日程で開催することを表明した。岸田首相は記者会見で「G7首脳が、広島の地から、核兵器の惨禍を二度と起こさない、武力侵略は断固として拒否する、との力強いコミットメントを世界に示したい」と述べた。

G7サミットが日本で行われるのは7回目となる。前回は三重県の伊勢志摩で開催された。

G7サミット事務局は、15日付で30人の体制で発足した。岸田総理大臣と林芳正外相は15日午前、外務省で事務局の看板かけを行い、写真撮影に応じた。その後、岸田首相は記者団に対し、「国際社会が激動する中、日本も存在感をしっかり示し、議論をリードしていきたい」と述べ、議長国として議論を主導していく決意を示した。

一方、林外相は閣議後の記者会見で「新たな時代の秩序づくりをG7が主導していく意思を、歴史の重みをもって世界に示す場にしたい」と意気込みを述べた。

また、警察庁も同日、「G7広島サミット等警備対策推進室」を設置。二之湯智国家公安委員長は記者会見で、「元首相に対する銃撃事件の検証を踏まえ、全国警察の総力を挙げて警備の万全を期していく」と述べた。

広島県は原爆資料館視察を求める

開催地の広島でも、岸田首相の発表直後から、準備が進められている。県全体で開催準備を進めるため、新たな官民組織「広島サミット県民会議」を7月21日に設立。トップは湯崎英彦知事が務め、今後、県と市の職員でつくる事務局が外務省や県内市町との調整を行っていく。

県民会議の設立趣旨書では「広島から力強い平和のメッセージを世界中に発信し、核兵器のない真に平和な世界の実現に向けた機運を高める取組を行う必要がある」としており、サミットの成功に向けて準備を進めるとともに、各国首脳の原爆資料館視察や被爆者との対談の実現などを政府に求めていく。

安倍晋三元首相銃撃事件後、要人警護の緊張高まる

広島県警は7月1日、警備部にサミット対策課を設置した。同日の時事通信によると、対策課は46人態勢で、警備計画の策定や関係機関との連絡調整役を担うとしていた。

しかし、7月8日、演説中に銃撃を受け死亡した安倍晋三元首相の事件以後、緊張が高まっている。

7月25日の「現代ビジネス」記事によると、8月で広島で各国来賓を招いて行われる「平和の式典」をめぐり松井 一實広島市長から警備への不安が指摘されたという。それによって、広島県警本部長の人事異動の可能性が示唆されている。

また、7月27日の中國新聞によると、広島市に安倍晋三元首相の国葬に反対するとして脅迫メールも届いているという。広島市の市民センターに「国葬を注視しなければ小中学校から薬物を盗んで子供を誘拐し危害を加える」という内容の脅迫メールが届き、広島市は広島県警に相談したとしている。

世界情勢が不安定ななか、2023年G7広島サミット開催までに警備体制の構築が大きな課題だ。

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