画像:shutterstock モニターでウクライナ戦争のニュースを見る
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ロシア軍退役大佐が「ウクライナ侵攻で状況は悪化する」とテレビで批判、翌日に一変

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、ロシア軍の退役大佐が2022年5月16日放送の国営テレビの番組で「状況は間違いなく悪化する。われわれは全世界を敵に回している」などと発言した。英BBCや米CNNなどが伝えた。

「全世界がロシアと敵対」と孤立化も指摘

CNN日本語オンライン版(18日付)によると、ウクライナ侵攻を批判したのは、軍事アナリストのミハイル・ホダレノク退役大佐。ロシア国営テレビの人気トーク番組に出演したホダレノク氏は、ウクライナが欧米諸国から武器の供与を受けると「(ウクライナの)100万人を武装させることが可能だ」とし、ロシアにとって「状況は間違いなく悪化する」と指摘した。さらにウクライナの兵士について「祖国を守る意志は強い。戦場での勝利は兵士たちの高い士気によって決まる」と述べ、ウクライナ側が優位に立っているとの見方を示した。

そして、「ロシア軍が置かれた軍事的・政治的状況の最大の問題は、我々が地理的に完全に孤立していることだ。全世界がロシアと敵対している」と、世界から孤立しているロシアの現状を厳しく批判した。

ホダレノク氏は侵攻開始前からロシアの防衛専門誌に「ウクライナとの武力紛争はロシアの国益にならない」と寄稿するなど、ウクライナとの主戦論を批判していた。

翌日、発言を一転させ軌道修正

BBC日本語オンライン版に掲載された(18日付)のBBCロシア版編集長スティーヴ・ローゼンバーグの記事によると、番組の中でホダレノク氏の批判を聞いた他のゲストは黙ったままで、いつもは熱烈に政府を擁護する司会者も妙に沈んでいるように見えたという。

しかし、CNNの報道によると、ホダレノク氏は翌日のテレビ番組で軌道修正ともとれる発言をしたという。ホダレノク氏は「ウクライナが反撃能力を獲得していると言う人がいるが、それは大きな誇張だ」と言い、ウクライナ軍が今後数カ月の間に制空権を獲得することは不可能で、制海権についても「ロシアの艦隊が黒海にいる限り、ウクライナが制海権を握ることはあり得ない」などと述べたという。

ホダレノク氏による一連の発言の真意は不明だが、ローゼンバーグ編集長は「ロシアで出されるシグナルをキャッチするため、テレビでおなじみのフレーズ通り、チャンネルはそのままにしておく必要がある」と記事を結んでいる。