画像:shutterstock 国会議事堂
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ヤングケアラーの支援へ自民、公明、国民が協議会を立ち上げ その背景

自民、公明、国民民主の3党は2022年4月19日、大人のかわりに家族の世話や家事などをしている「ヤングケアラー」への支援を検討する協議会を設置することで合意した。公明党や国民民主党が対策の強化を求めてきた。

奨学生の6.5%がヤングケアラーとの調査結果も

ヤングケアラーは本来、大人が担うような家族の世話や介護などを行っている児童や学生、若者のことで、学習や進学、就職などに支障をきたすケースがあるとして、対策を求める声が高まっている。

文部科学省でも、ヤングケアラーの実態調査に取り組んでおり、20年度の調査では、「世話をしている家族がいる」と答えた子供が中学2年生で5.7%、高校2年生で4.1%という結果がでた。さらに21年度の調査では、小学生6年生の6.5%が家族の世話をしていると答え、小学生から高校生まで一定割合の子供がヤングケアラーとなっていることがわかった。

こうした状況を踏まえ、国民民主はヤングケアラーの問題の対策を早急に講じるよう以前から訴えており、22年2月9日には、「児童福祉法の一部を改正する法律案」(ヤングケアラー支援法案)を参議院に議員提案するなどしている。

3党は4月19日、国会内で幹事長が会談し、ヤングケアラーへの支援を検討する協議会を設置することで合意した。この合意に先立ち、公明や国民が求めていたガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」について、「補助金による対応が機動的である」として、凍結解除を当面見送り、引き続き検討していくことでも合意した。

国民は成果を強調 「花を持たせた」の報道も

ヤングケアラー対策の協議会設置が3党で合意されたことについて、国民民主党の玉木雄一郎代表はTwitterで「独自の法案を提出するなど我が党の伊藤たかえ議員を中心に進めてきたヤングケアラー対策。この度、国民民主党の呼びかけで自公国3党の協議会が設置されることになりました」と発信。国民主導で対策が進んだと成果をアピールした。

国民民主としては、政策実現のために与党と合意できる部分は協調していくとの姿勢だが、メディアの中には「与党への歩み寄り」との見方も少なくない。

TBSは19日、「新たな政策課題を話し合う枠組みを設置することで、国民民主党が与党に近づく姿勢が改めて浮き彫りになった」とニュースで報道。時事通信は20日、トリガー条項が継続協議となったことを報じる中で「(自民は)国民が傾注する別の政策で協力姿勢を見せて懐柔した」とし、ヤングケアラー対策で「国民側に花を持たせることも忘れなかった」と報じた。

このような見方がある中、政策実現を優先する国民民主の姿勢が、国民や支持者からどう評価されるか、注目される。