宗教2世(イメージ) 画像:shutterstock
宗教2世(イメージ) 画像:shutterstock

「宗教虐待」防止の法律制定を! 旧統一教会に対し報告指示権限を行使しない政府に問う

旧統一教会の信者で、幼いころから信仰を押し付けられ、「宗教虐待」を受けてきたと訴えている“宗教2世”がオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で、宗教による虐待を防止する法律の制定を求めるキャンペーンを開始した。一方、政府は問題宗教団体への報告指示権限を持っているにもかかわらず、行使していない。

両親の多額の献金で貧しい生活

両親が旧統一教会の信者で、幼いころから信仰を押し付けられ、「宗教虐待」を受けてきたと訴えている高橋みゆき(仮名)さんがオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で、宗教による虐待を防止する法律の制定を求めるキャンペーンを開始した。キャンペーン開始から約1カ月たった2022年8月17日には約5万3,000人の署名が寄せられている。

高橋さんは旧統一教会の信者同士が結婚して生まれた「祝福2世」。8月17日放送の日本テレビの報道番組で本人自ら語ったところによると、両親は教団に高額な献金をしていたため、幼いころから家は貧しく、信仰を強要されて生きてきたという。

特に自由恋愛はタブーとされ、異性と交際すると「地獄に行く」と教えられ、無理やり別れさせられた。また、「自分の罪を清算する」と称して、断食を強要されることもある。

こうした状態について、高橋さんは「多くの日本の宗教信者の子ども(宗教2世)は、自身が信仰を望まない場合でも宗教活動を強制させられる」という問題を抱えているとして、「宗教虐待」が行われていると指摘。宗教2世には、日本国憲法の定める「基本的人権」がなく、社会はこの人権蹂躙を許してはいけないと訴えている。

子どもの人権保護を訴える

高橋さんは、宗教虐待が行われる理由について、宗教組織が存続するために、資金源や労働力となる信者が抜け出せないような「ゆがんだ教義」を作り上げていることを原因に挙げている。そして、「宗教組織が、さらなる信者確保のために真っ先に狙うのは信者の子ども。宗教組織が信者の子どもを狙うのは常套手段」だとして、子どもを信仰の強制から守ることが大切だと呼びかけている。

高橋さんの署名サイトでは、信教の自由や幸福追求権など、子どもの基本的人権を守るために法整備が必要だと提言。虐待の定義に「宗教虐待」の概念を追加し、子どもに対する宗教虐待や、他者に対し宗教虐待を行うように指導する行為を禁止するとともに、違反した場合は刑罰を科す法律を制定するよう求めている。

主な人権侵害の例として、自由恋愛の禁止のほか、「信仰しないと地獄に行くと脅される」「自分の意志では脱会できない」「信仰に反すると改心するまで追及される」といったことがあるという。

また、高橋さんは旧統一教会だけでなく、他の新興宗教の2世問題も一緒に解決していきたいとして、「エホバの証人」などによる被害実態についても訴えている。

菅野志桜里
菅野志桜里 The tokyo Post編集長

●宗教虐待問題は本当に深刻です。政府は、問題が指摘される宗教法人に対して質問し報告を求める権限を持っているにも関わらず、統一教会に対してすらこの権限を使っていないことも、18日の国民民主党のヒアリングで明らかになりました。団体側の宗教活動の自由の裏側で、子どもたちの人権・尊厳が奪われている状況を変えなければいけません。今の法制度で事態の悪化が放置されてきたのですから、新しい法制度をつくるべきです。(菅野志桜里)