ディスカッション(イメージ) 画像:shutterstock
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【データが語る日本の男女不平等2022年】ジェンダーギャップ指数世界116位、「男性優遇感じる」回答が7割超

2022年夏に出揃ったデータから日本のジェンダーギャップ現在地を把握しよう。スイスのシンクタンク世界経済フォーラム(WEF)は2022年7月13日、世界各国の男女格差の大きさを国別に測って順位付けした2022年版「ジェンダーギャップ指数」を公表した。日本は調査対象となった世界146カ国のうち116位で、依然として男女の不均衡の改善が進んでいない。

ジェンダーギャップ指数は116位 韓国、中国より低く

スイスのシンクタンク世界経済フォーラム(WEF)は2022年7月13日、世界各国の男女格差の大きさを国別に測って順位付けした2022年版「ジェンダーギャップ指数」を公表した。日本は調査対象となった世界146カ国のうち116位で、依然として男女の不均衡の改善が進んでいない。

ジェンダーギャップ指数は、「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4分野で、男女格差を男性に対する女性の比率で表示。「1」であれば、完全な平等を実現したことになり、数値が小さくなるほど、男女格差が大きいことを示す。

日本の順位は19年に過去最低の121位(153カ国中)となり、21年は120位(156カ国中)だった。順位だけを見れば、22年は116位と順位を上げているが、対象国が146カ国と減少しているうえ、数値は悪化しており、ほとんど改善が進んでいない。

世界各国の順位を見ると、1位はアイスランドで13回連続のトップとなった。フィンランド、ノルウェーなど北欧の国が上位を占め、主要7カ国(G7)ではドイツが10位でトップ。次いでフランス(15位)、英国(22位)、カナダ(25位)、米国(27位)と続き、イタリアが63位。日本は大きく後れを取っている。東アジアでも、韓国が99位、中国が102位で、日本の順位の低さが目立つ。

世界全体の傾向についてWEFは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ジェンダー格差が広がっていると指摘。労働力の中で格差が広がっており、「生活費の危機的な高騰が女性に強い打撃を与えている」と分析した。

政治と経済の分野で立ち遅れる日本

一方で教育(1位)や医療(63位)の分野では、格差がない、もしくはほとんどないと評価されているが、政治や経済の世界で活躍する女性が少ないことが、順位を下げる要因となっている。

女性政治家の数も決して多いとはいえず、22年7月10日に投開票が行われた参院選では、ようやく当選者全体に占める女性の割合が28%に達し、過去最高となった。しかし、政府の目標は「女性候補者の比率を2025年までに35%」で、この目標を上回る女性候補者を擁立したのは立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民の5党だけだった。

また、政府は、企業や公務員の女性役職者の比率について「30%」という目標を掲げて女性の登用を促しているが,国家公務員を中心に依然として比率は低いままとなっている。

7月13日の記者会見で、同指数の結果について聞かれた松野博一官房長官は「わが国の現状が諸外国と比べて後れを取っていることを示しており、謙虚に受け止める必要がある」としたうえで、経済、政治分野での女性の自立や地位向上に政府全体で取り組むとの考えを示した。

女性管理職30%の目標も達成できず

国家公務員や民間企業の管理職の男女比についても、政府は2020年までに指導的立場の女性を30%にするという目標を掲げていたが、20年の「第5次男女共同参画基本計画」の中で「目標が社会全体で十分共有されなかった」などとして達成を断念。「2020年代の可能な限り早期に30%程度となるよう目指して取組を進める」と新たな目標を掲げた。

しかし、国家公務員においては、女性の管理職登用はほとんど進んでおらず、21年の局長・審議官級職員の女性の割合は4.2%、本省課長級職員も4.9%となっている。カナダやイギリスなどで女性管理職が4割を超えているのに比べてもかなり低く、欧米諸国と比べて後れを取っている。

東洋経済新報の「役員四季報」によると、民間企業でも女性役員の数は12年から21年までの9年間で約5倍となったが、比率は7.5%とまだまだ低い。OECDの調査でも、欧米諸国では企業の役員のうち、女性は約3割から4割を占め、フランスでは45.3%となっているのに対し、日本は12.6%だった。

男女共同参画白書では、「男性が優遇されている」回答が7割超え

男女共同参画局では「日本の男女共同参画の現状は、諸外国に比べて立ち遅れており、昭和の時代に形作られた各種制度や、男女間の賃金格差を含む労働慣行、固定的な性別役割分担意識など構造的な問題を抱えている」などと指摘している。

国民の多くも、日本の社会は「男性が優遇されている」と感じている。

内閣府男女共同参画局が2022年7月8日、「令和4(2022)年版男女共同参画白書」に掲載されているデータの一部をホームページに掲載した。その中の19年の内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、男女の地位について「男性の方が優遇されている」との回答が74.1%を占め、「平等」の21.2%を大きく上回った。

白書では、男女の地位の平等感について7割以上が「男性の方が優遇されている」と回答した世論調査の結果や、管理職に占める女性の割合などを示し、他の先進国に比べ男女間格差が縮まらない日本の現状を明らかにしている。