性と生殖に関する権利の啓発と課題解決に若者が連携する「SRHRユースアライアンス」が始動

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利・SRHR)について、若者らに積極的に発言してもらおうと、国際協力NGOジョイセフ(東京都新宿区)は12月10日、ネットワーク組織「SRHRユースアライアンス」を立ち上げた。ネットワークを通じて若者らの連携を促し、SRHRに関する提言の場を設ける。

若者が結集し発信力と発言力を高める

ジョイセフによると、SRHRユースアライアンスは日本国内でSRHRやジェンダーに関する課題に取り組む個人や団体が集まり、国際社会と連携しながら、権利擁護のための政策提言などの活動を進める。参加できるのは、SRHR問題に関心を持つ30歳未満の個人と、メンバーの半分以上が30歳未満の団体。国際人権デーの12月10日、6団体と個人らが参加して発足した。

今後、国会議員や政府などと意見を交換するほか、若者向け勉強会や研修会などを開催して、若者世代に向けて情報発信。さらに、G7サミットや国連・国際会議などに向けた政策提言や意見の発表などを行って若者世代のオピニオンリーダーを育成し、課題解決に向けた機運を高めていく。

特有の課題抱える日本のSRHR

SRHRは性や生殖に関する事柄を自分で決定し、自分の意に沿わないことを強制されずに、心身が満たされ幸せを感じられる権利のことで、国連でも基本的人権の1つとして認められている。

日本は他の先進国に比べて男女格差など性差別の解消が遅れていると言われるが、SRHRについても学ぶ機会が少なく、啓発や課題解決の取り組みが遅れていると指摘されている。日本特有の課題として、性的同意への理解の乏しさや選択的夫婦別姓の導入の遅れ、子宮頸がんワクチンの接種率の低さ、経口中絶薬や緊急避妊薬の入手の難しさなどが挙げられている。

ジョイセフは1968年に創設された団体で、家族計画や女性の人権に対する政策提言などを行ってきた。2年前からは、緊急避妊薬の市販化の実現を求める団体などとイベントを開くなどしてSRHRに関する啓発活動を展開。政府への政策提言も行い、2020年の第5次男女共同参画基本計画では、処方箋なしに緊急避妊薬が利用できるよう検討することや「就活セクハラ」防止策の充実が新たに盛り込まれた。

ジョイセフは、アライアンスの活動を通して「多くの若者がSRHR情報を入手し、知識を得ることで政府に政策提言し、政策を変えていく」としており、長期的には世界中の誰もがSRHRを享受できる社会の実現を目指す。