赤ちゃんを抱く男性 画像:shutterstock
赤ちゃんを抱く男性 画像:shutterstock

「育休」から「育専」へと意識を変えよう 育児支援の会社が呼び掛け 

子育て中の親向けアプリやサイトの開発を手がけるコネヒトは2022年6月3日、育児休業や育児休暇の略称を「育休」ではなく「育専」とするよう呼びかけを始めた。育児休業を「休み」ととらえる風潮を変えようという取り組みで、子育て中の家族を対象にインターネット調査を行ったところ、「育専」を推す意見が最も多かった。

「育児に専念する時間」の強調を

同社によると、男性の育児休業の取得率は年々増加しているものの、育休を取得しても夫が家事や育児をあまりしない「取るだけ育休」「名ばかり育休」が多いという。同社が2019年に日本財団と共同で実施した調査によると、「一日の育児・家事の時間は2時間以下」と回答した育休中の男性が約3人に1人の割合となり、こうした夫婦の間では育休を取得しないほうが妻の満足度が高かった。

同社では、こうした実態や、男性の育児休業取得率の水準が低くとどまっている背景には、「育休=休み」という意識が根強いことがあるとしている。また、育休を取得した女性からも「子育てでゆっくり眠ることもできないのにのんびりし休んでいると思われている」という意見が多い。このため、育休を「親として育児に専念し、育児を通して家族を育む期間」ととらえ直そうと5月からキャンペーンに取り組んでいる。その中で「育休」に代わる呼び名を選考した。

「育休」に代わる呼び名として「育専」「ファミトレ」「親活」の候補を挙げ、同社のアプリの利用者などを対象にインターネットを通じて、一番ふさわしい名称を尋ねた。その結果、一番多かったのが「育専」で、「育休は仕事を休むという印象が強すぎる。育児に専念する時間だということを強調したい」などの声が寄せられた。

同社では「育専」の使用を広く働きかけ、「育休=休み」という意識を変えていくとともに、育児休業の質の向上に取り組んでいくという。

男性にも「育児に専念する権利」がある

今回、コネヒトが新たな「育児休業」の呼称として使用を呼び掛けている「育専」だが、実は2015年に労働・子育てジャーナリストの吉田大樹さんが提唱している。

同年12月にWebニュースメディア、ハフポスト日本版に掲載された吉田さんの記事では、「男性が仕事を休んで育児に専念したり、仕事よりも育児を優先したりすることは人間の尊厳として極めて重要なことだ。これはすべての男性に認められるべき権利なのではないか」などと主張。男性も育児休業を取得できる環境の整備を求めたうえで、「育休は決して休んでいるわけではない。『休む』という言葉があることの誤解や弊害も大きい」として「育児に専念する、または育児に専従する期間」という意味で「育専」を提唱した。

また、吉田さんは「男性の育児参加」という言葉にも疑問を呈し、「男性の育児参加」とは「女性が育児をするのは当たり前」という発想から来るもので、「男性が育児をしない=家庭にいない」ことを前提にしたものだと指摘。男性自身が家庭の中の一員という意識を持てば「育児参加」という言葉自体が死語になり、「男性が出産後、一定期間育児に専念することも当たり前になる」と訴えている。