認定NPO団体しんぐるまざあず・ふぉーらむと、専門家らによる『コロナ禍のひとり親調査プロジェクト』は4月27日、「⻑期化するコロナ禍におけるひとり親の就労・生活調査『第6波による影響ー働けず減収・進学困難』」を発表した。
非正規のひとり親、月収は平均11.7万円
調査は今年3月、しんぐるまざあず・ふぉーらむの食品支援を受けているひとり親を対象にアンケート形式で実施。新型コロナウイルス感染症の第6波が生活に及ぼした影響について聞き、有効回答数は1,538名だった。
回答によると、全体の就業率は81.4%と高いものの、その8割はパート・アルバイト・派遣社員といった非正規雇用者であることが分かった。非正規雇用ひとり親世帯の平均月収は11.7万円(税込/アンケート期間中)。報告書では第6波による休園休校の影響に触れ、「パート・アルバイトなどで不安定かつ低い収入や貯蓄の低さが目立つ脆弱な層が、コロナによって子どもの預け先を失うことでさらに困難な状況に置かれた」とまとめた。
「米などの主食」を買えなかった人が約5割、進学を断念する子どもも
また回答からは、2021年末〜2022年2月末までの間に、「米などの主食」が買えない経験をした人が約5割(45.7%)、「服や靴」が買えない経験をした人が8割(80.4%)に上ったことなども明らかになった。苦しい状況は子どもの進路にも大きな影響を与えている。
「玩具・⽂具・学⽤品」が買えない経験をした人は6割以上(62.1%)で、中には「子どもの進学自体を諦めた」という回答者もいたという。
立教大学コミュニティ福祉学部の湯澤直美教授は、ひとり親の苦しい状況や平均月収の低さが生存問題であるということ、教育費用の高さが子ども世代への不利な状況へと繋がっていることなどを指摘する。長期的な影響が懸念されることから、支援拡充など抜本的な対策が必要だとコメントを寄せている。
認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむは、1980年に当事者が集まり任意団体として発足。シングルマザーに寄り添い、イベントやセミナーの開催や就労支援などを行っている。