画像:shutterstock #metoo
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性加害報道「事実と異なる」として園子温監督が「週刊女性」を提訴 MeTooの波紋

雑誌「週刊女性」で女優に対し性的な関係を強要したなどと疑惑を報じられた園子温監督が2022年5月19日、発行元の主婦と生活社を相手取り、損害賠償や謝罪広告、ネット記事の削除を求める訴訟を起こしたと個人事務所のホームページで明らかにした。18日に東京地裁へ訴状を提出したという。

「裁判で事実を明らかに」と園監督

ホームページに掲載された「関係者及びファンの皆様」とする文書によると、「週刊女性」22年4月5日号と4月12日号に掲載された記事には、「事実と異なる点が多々ある」といい、「裁判の中で、記事の内容が事実でないことを明らかにして参りたい」としている。

「週刊女性」は記事の中で3人の女優の証言を取り上げ、園監督の性加害を告発。中には、ホテルに呼び出され、「仕事をあげる」と言われたため、性的関係を持ったとの証言もある。また、別の元女優は10年前、高級マンションで、園氏から無理やりキスされたり、押し倒されたりしたという。このほか、同誌は、園監督が女性に送ったとする、性的な内容のLINEメッセージの画像を掲載している。

19日付「スポーツ報知」オンライン版によると、訴訟について園監督は同紙の取材に対応。「裁判によって事実を全て明らかにしていくことが私の望み」と説明したうえで、「法廷闘争は再び世間の注目を集めるという“諸刃(もろは)の剣”でもあるが、法廷に立つ気持ちの準備もできている」などとコメントした。

また、女優への性的内容が含まれるLINEメッセージに関しては、「誰に送ったのか覚えていないものもあるが、私が送ったものであることは間違いない。相手の女性に対しては謝ることしかできない」と話したという。

「まずは謝罪と償いを」との批判的な声も

映画界など芸能界での性加害については、22年3月に週刊文春が映画監督の榊英雄氏の性加害を告発。その後、多くの女優から、映画界などでの性加害の告発が相次いでいる。また、映画監督や俳優、脚本家ら関係者の間から、性暴力の撲滅や実態調査を求める声が上がっている。

そうした中、園監督が性的な内容のLINEを送ったことを認めながら、訴訟に踏み切ったことについては批判的な声が多い。提訴を報じたヤフーニュースのコメント欄にも「被害に遭った女性の気持ちをもっと考えるべきではないか」「自分の行いを棚に上げて、間違っている部分の訂正を求めること自体が間違っている。まず、事実を述べ、被害者に謝罪し、償うことは償うところまでしてから、間違っている部分も多いと言えばよい」などといった厳しい意見が寄せられていた。

また、「週刊女性」の取材を受けたことを公表している元女優が5月19日、Twitterで「週刊女性に確認をしました。証言者として呼ばれたり、証拠(すでに提出済み)が使用される事はないそうです」と発信。元女優は近く、訴訟について動画でコメントを出す予定だという。

同監督作品は海外での評価も高く、著名人のファンも多いため、業界への影響力は大きい。隠ぺいされた性暴力の実態を浮き彫りにし、業界を変えるきっかけとなるのか、訴訟の行方に注目が集まっている。