アンケート調査 画像:shutterstock
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ほぼ全企業が「人権リスクある」と回答 「人権デューデリジェンス知らない」が5割 「月刊総務」調査

企業などの総務担当者向け専門誌「月刊総務」を発行する月刊総務は2022年8月9日、全国の総務担当者を対象に実施した「人権リスクに関する調査」の結果を公表した。ほぼすべての企業が「自社に人権リスクがある」と回答したものの、対策に取り組んでいるのは6割にとどまった。

「ハラスメント」を挙げた企業が8割以上

2022年7月13日から21日まで「月間総務」の読者らを対象に、インターネット上でアンケートを実施。112人から回答を得た。

調査結果によると、ほぼ全ての企業が自社に「人権リスクがある」と認識しており、「人権リスクはない」との回答は2.7%だった。どのようなリスクがあるのかを尋ねたところ、「ハラスメント」が最も多く、80.4%。次いで「過剰・不当な労働時間」の42.0%、「労働安全衛生」34.6%と続いた。

一方で人権リスクに対する取り組みをしているのは55.4%にとどまり。4割あまりの企業がリスクを認識しながら、対策をとっていないことがわかった。取り組み内容として最も多かったのが、「通報・相談窓口の設置」で67.7%。次いで「人権研修の実施」が56.5%、「各種社内制度の変更・改善」53.2%などとなった。

半数近くが「人権デューデリジェンスを聞いたことがない」

「人権デューデリジェンス」への取り組みにもついて尋ねたところ、「人権デューデリジェンス」について「よく理解している」との回答は10.7%にとどまった。逆に、「言葉を聞いたことがない」が半数近い45.5%に達し、「人権デューデリジェンス」という言葉そのものが、まだ広く認知されていないことが分かった。

このため、人権リスクに取り組んでいると答えた企業の中でも、「人権デューデリジェンスを実施している」との回答は19.4%と2割に届かなかった。取り組んでいない企業に理由を聞いたところ、「実施するためのノウハウがない」が51.4%と最も多く、「何をすればよいのかわからない」と「実施するための時間がない」が32.4%と続いた。

また、実施している企業に課題を尋ねたところ、「予算が足りない」と「従業員の理解度が足りない」がともに41.7%となり、十分な取り組みができていないと感じている企業が多いことも分かった。

調査結果について、同社では「人権デューデリジェンスという言葉の認知度は低かったものの、最近の社会情勢やSDGs、ESG経営などへの関心の高まりから、人権についての対応を意識するようになった総務が多いようだ」と分析。「基礎知識が不足している、何から着手すべきかわからない、という声も多く、参考になる企業事例やケーススタディをもっと学びたいという総務のニーズも明らかになった」としている。