株価チャート(イメージ) 画像:shutterstock
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参院選の結果歓迎の経済界コメントまとめ 株高・円安の進行続く

2022年7月10日投開票の第26回参議院選挙で、自民党が単独で改選議席の過半数を確保するなど与党が勝利したことについて、経済界からは歓迎の声が上がっている。翌11日の株式市場も値上がりで反応し、円相場は円安が進行した。当面の経済政策に変更がなく、金融緩和も続くとの見方が強まったためだと思われる。

経済団体から歓迎のコメント

経団連の十倉雅和会長は10日、与党の議席が過半数を占めることが確実になったのを受けてコメントを発表。「与党で総定数の過半数を大きく超える議席を獲得したことで、強力かつ安定した政治の態勢が維持されたことを大いに歓迎する」としたうえで、「引き続き岸田政権の政策遂行に全面的に協力し、社会課題の解決と成長のけん引役として、持続可能で豊かな未来社会の確立に向けた取り組みを進めていく」と岸田政権の政策を支持していく姿勢を表明した。

日本商工会議所の三村明夫会頭は「多くの課題は残るものの、連立与党の2年半にわたるコロナ禍対応への一定の評価とともに、何より安定的な国政運営を望む有権者意識の顕われだ」と選挙結果を評価したうえで、「コロナ禍で顕在化した社会課題の解決と成長とを同時に実現する骨太の成長戦略によって、わが国経済を成長軌道に乗せることが何より重要だ」とデフレ脱却による経済成長を政府に求めた。

また、経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「変化が激しい経済情勢や国際環境を前に、民意は政治の安定を選択した」とし、岸田首相に「『新しい資本主義』を体現する世界に誇れる日本を実現してほしい」などと要請するとともに、「私たち企業経営者は、民間部門がその中心的な役割を担うことを、覚悟をもって再確認する」と経済成長に向けて取り組む決意を示した。

株価上昇の一方、金融政策修正に警戒感も

参院選の与党の勝利を受けて、投開票日翌日にあたる11日の東京株式相場は、日経平均株価の終値が2万6,812円30銭と3日連続の上昇となった。午前中には2万7,000円台を回復する場面もあり、岸田政権の政権基盤安定化を好感した買いが入ったとみられる。加えて、米国経済のリセッション(景気停滞)懸念後退が加わったとの見方もある。7月12日には2万3,000円台に反落したが、13日、14日と続伸し、7月14日は2万6,643円39銭で終えた。

一方、為替相場では円売りが入り、ドル円相場は一時137円台に上昇し、約24年ぶりの円安水準に達した。7月14日現在では一時139円を記録し急速な円安が進行している。

7月11日付のブルームバーグ日本語オンライン版によると、今後、岸田政権下では25年夏まで国政選挙の予定がなく、中長期的に独自色を出しやすくなると見られている。

同記事によると、選挙期間中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相のもとで異次元金融緩和を進めた黒田東彦・日銀総裁の後任人事も迫る中、安倍元首相が亡くなったことで、金融政策の正常化など転換点が迫っていると予想する市場関係者もいる。一方で、岸田政権の支持率が低下するリスクが薄まり、日銀が政策を修正するとの期待が後退したため、さらなる円安要因にもなっているとの指摘もあるという。

また、11日付の日本経済新聞オンライン版も「岸田政権の指導力は高まるとの見方が強い」とし、安定した経済政策を進められるとの見方を示しているが、「岸田首相が『成長より分配』を過度に強調すれば、株式市場の重荷になるとの警戒もくすぶっている」との一部の識者の懸念を伝えている。