女性に特化した転職サイト「女の転職type」を運営するキャリアデザインセンター(東京都港区)は2022年4月26日、職場でのハラスメントに関するアンケート結果を公表した。職場でハラスメントを経験した女性は約8割にのぼり、その6割近くがパワーハラスメント(パワハラ)だった。
ハラスメントで最も多いのは「上司のパワハラ」
調査は22年3月28日~4月8日まで、サイトの登録会員を対象にWebを通じて実施。677人から回答があった。
調査結果によると、職場でハラスメントを感じたことがある人は76.8%で、ハラスメントの内容について尋ねたところ、パワハラが1位で58.1%。次いでセクシャルハラスメント(セクハラ)の36.6%、モラルハラスメント(モラハラ)の35.0%だった。また、ハラスメントを感じた相手は、「上司」の85.8%が最も多く、次いで「同僚」の39.6%、「社長」の14.8%の順だった。
ハラスメントについて誰かに相談したかについての問いでは、「同僚」の37.1%が1位、「知人、友人」が29.6%で2位、「上司」26.7%、「家族」21.5%だった。一方で「誰にも相談していない」が30.2%に上った。逆に「人事」が8.1%、「社内の相談窓口」が7.7%と会社のルールに沿って解決を図った人は少なかった。
誰かに相談した結果については、「改善した」「やや改善した」と答えた人は18.1%と2割に満たず、「改善しなかった」が81.9%と圧倒的に多かった。さらに、改善しなかった人にその後どうしたかを尋ねたところ、「我慢した」が50.3%と最も多く、「退職した(退職予定)」が41.1%、「転職した(転職予定)」が26.9%という結果となった。
対策が不十分な職場ではハラスメントへの不満が多い?
職場のハラスメントの実態調査については、厚生労働省も数年置きに調査しており、直近では2020年10月、労働者の男女8,000人を対象に実施した。
その結果によると、過去3年間にハラスメントを受けた経験があると答えた労働者はパワハラが31.4%、セクハラが10.2%だった。
また、ハラスメントを受けた後の行動では、「何もしなかった」がパワハラで35.9%、セクハラで39.8%と最も高く、「社内の同僚に相談した」がパワハラで22.0%、セクハラで18.3%。全体的に勤務先に対し「ハラスメントの予防・解決に向けた取り組みをしている」という評価が高いほど、社内の同僚などに相談した割合が高く、「何もしなかった」の割合が低かった。
転職サイトの結果と国の調査を単純に比較することはできないが、転職サイトでハラスメントを受けた割合が高くなったのは、転職を考えている女性を対象とした調査だったことが原因の一つと考えられる。
周囲に相談しても「改善しなかった」という回答が多かったことから見ても、ハラスメント対策がしっかりと講じられていない職場では、各種ハラスメントに悩む女性が多く、職場に不満を持っていることが多いと言えそうだ。