日印首脳会談2022年3月19日 (写真提供:内閣広報室)
日印首脳会談2022年3月19日 (写真提供:内閣広報室)

インド関連の株価上昇 岸田首相のインド5兆円投資表明を受けて

岸田文雄首相は202年3月19日、インドを公式訪問し、ナレンドラ・モディ首相との首脳会談を行った。岸田首相は、日本が今後5年間でインドに5兆円を投資するとの目標を表明した。今後、高速鉄道などのインフラ整備や脱炭素、新型コロナウイルス対策を含むヘルスケアなどの分野で経済協力を進めていく方針で、日本国内ではインドで事業を展開する企業の業績の行方に注目が集まっている。

スズキは電気自動車関連などで1500億円を投資

首脳会談では、ウクライナ情勢への対応や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みが議論の中心となったが、2国間関係では、日本が5兆円の投資を表明したことが大きな関心を集めた。

会談後に両首脳が出席して開かれた日印経済フォーラムでは、岸田首相が「首脳会談で、経済をはじめとする日印関係の更なる深化に向けて、力強く協力を推し進めていくことを確認した。イノベーション、デジタル、気候変動、経済安全保障。いずれの分野でもインドと協力していく」と挨拶。

その後、スズキが電気自動車(EV)や車載電池をインドで現地生産するため約1500億円投資する計画を明らかにし、インド・グジャラート州と覚書を締結した。

インドで巨額投資を発表したスズキは、現地でEV生産能力の増強、電池生産工場の建設、車両解体・リサイクル工場の建設を行う予定で、2025年から26年にかけての稼働を目指す。鈴木俊宏社長は覚書の締結後、「インドへの積極的な投資を継続し、インド政府が掲げる『自立したインド』の実現に貢献していく」と語った。

ホンダやダイキン、TOTOなど「インド関連株」に投資家が注目

岸田首相がインドとの経済協力の推進を表明したのを受け、日本の株式市場では「インド関連」が投資テーマとして注目を浴びている。株に関する情報サイト「みんかぶ」と「株探」が集計した「人気テーマランキング」でも「インド関連」が10位となった。

スズキのほか、インドで25年以上、乗用車やオートバイ、発電機などを製造しているホンダや、インドでのエアコン最大手の地位を占めるダイキン工業、TOTOや関西ペイントもインドに進出し、業績を伸ばしている企業として知られる。

このほか、プラスチック容器射出成型機のインドでの販売拡大を目指し、21年12月に業務提携に向けた覚書を結んだ芝浦機械と日精エー・エス・ビー機械、インドでコンビニエンスストア事業を展開するインパクトホールディングス、インド国内で浄化槽の製造・販売を手がけるダイキアクシスなども注目を浴びている。