世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に対し、日本が外国人の入国制限を続ける中、米カリフォルニア大学が2023年3月まで日本への留学生派遣を中止することを決めた。共同通信が報じた。
交換留学制度への影響を懸念する声も
共同通信が2022年2月11日に報道したところによると、同大学は日本政府が空港などでの水際対策を強化しているため、日本に入国できる見通しが立たず、留学を希望する学生に進路決定を先送りさせるのは負担が大きいと判断したという。
米国では、スタンフォード大とメリーランド大が22年春の留学生の派遣を中止、バージニア大が主要プログラムの中止を決めている。しかし、1年以上にわたる派遣の中止が明らかになったのは、海外の主要大学として初めてだとみられるという。共同通信は、米国からの留学生の日本離れが拡大する可能性があると指摘している。
こうした報道に、Twitterでも多くの反応が見られた。ニュースサイト「BLOGOS(ブロゴス)」は「このままでは交換留学制度停止の動きが海外で広がる恐れがある。これまで培ってきた仕組みが壊れることは大きな損害だ」と公式Twitterでツイート。東洋英和女学院大国際社会学部も「本学はカリフォルニア大学からの留学生受け入れはありませんが、他の大学にも広がる可能性があります。海外の大学生から日本留学という選択肢が消えていくのを危惧します」と懸念した。また、「交換留学はお互い様でやっているから、日本からの学生も受け入れてもらえなくなる」という声もあった。
赤いマスクでの抗議活動広がる
日本政府は、新型コロナウイルス対策として水際対策を重視し、外国人の新規入国禁止措置を続けている。感染拡大を防ぐためにやむを得ない面はあるが、他国の留学生やビジネスマンの間からは抗議の声も上がっている。
2022年1月20日の各紙は、世界各国同時の抗議運動の様子を伝えた。Twitter上に開設された団体「ストップ・ジャパンズ・バン(日本の入国規制を止めろ)」による抗議運動で、18日にモンゴルやポーランド、インド、マレーシアなどで行われた。参加者は日本に渡る予定だった留学生やビジネスマンらで「入国禁止措置は非科学的だ」などと訴えている。
ストップ・ジャパンズ・バンのTwitter上には2月に入っても連日、「2年以上待っています」などといった入国を望む声が上げられ、赤いマスクが抗議のシンボルとなっている。
こうした声を受け、政府も入国規制の緩和に動き出している。
岸田文雄首相は2月12日、東京の羽田空港で水際対策措置を視察した後、記者団の質問に答え、「水際対策の骨格自体について見直し、緩和の方向で検討していきたい」と述べた。