画像:NPO法人開発メディア ニット帽の売上をミャンマーに寄付
画像:NPO法人開発メディア ニット帽の売上をミャンマーに寄付

おしゃれなニット帽の購入や英会話レッスンでミャンマーの民主化を支援 

2021年に軍事クーデターが起きたミャンマーの民主化運動を支援しようと、途上国の支援などに取り組んでいるNPO法人「開発メディア」が手編みのニット帽の販売や英会話による収益の一部をミャンマーに送る活動を進めている。

民主化を求める女性らがニット帽作りや英会話講師を

NPO法人「開発メディア」は、途上国や国際協力に関する情報を発信するWebメディアを運営し、大手メディアであまり取り上げられない途上国の社会情勢や国際協力NGOの取り組みなどを紹介している。

2022年1月から販売を始めたのは、ミャンマーで民主化を求める「市民不服従運動(CDM)」に参加する女性ら3人が手編みしたニット帽。全部で53個あり、全てデザインが違う。売上げの3分の1をCDMの活動支援として寄付する。

ニット帽にはミャンマーの公用語であるビルマ語で「続ける」という意味の「Sat Lat」と名付けた。「軍事クーデターで奪われた民主主義を取り戻す運動を続ける人たちを支援し続けていく」という思いを込めたという。購入はオンライン販売のみで、1個3980円(送料無料)。残りわずかとなっている。

また、ミャンマー人から英語のレッスンを受けることで、民主化の運動を支援する「英語をしゃべってミャンマー人を救え!」の活動にも取り組んでいる。

英会話レッスンのパートナーを務めるのは、ミャンマー在住で、軍需クーデターによって仕事を失った20代のミャンマー人女性3人。3人はレッスンによって得た収入の一部をCDMに参加する人たちに寄付する予定。

レッスンは通話アプリZoomを使ったオンラインで行われ、期間は2月からの4カ月。料金は月3600円のサブスクリプション方式で、1コマ40分のレッスンを1カ月に何度でも受けられる。

軍事クーデターの影響や新型コロナ禍で貧困が拡大

ミャンマーでは、長く軍事政権が続いていたが、2011年に民主的な政権に移行。ところが、2021年2月に国軍が緊急事態を宣言し、民主化に取り組んできたアウン・サン・スー・チー国家最高顧問ら複数の与党政治家を拘束した。

こうした国軍によるクーデターに多くの国民は反対しており、CDMも民主化を求める運動の1つ。公務員などが職務をボイコットして民主主義の復活を求めている。

軍事クーデターから約1年が経つが、ミャンマーでは多くの人が職を失ったり収入が激減したりして経済的に苦しんでいるという。国連開発計画(UNDP)の推計によると、仕事を失わない場合でも自営業者の収入は50%、給与所得者や農家の収入は25%落ち込んでおり、貧困率は、軍政下にあった約15年前と同じ水準の46%にまで上昇する可能性がある。また、新型コロナ感染症の拡大も深刻な影響を及ぼしており、CDMによって公立病院の運営が滞るなか、オミクロン株による感染者も増加している。

英会話レッスンの講師やニット帽作りを行っているのは、同法人のメディアで通訳ボランティアをしていた女性らで、やはり軍事クーデターによって仕事がなくなり収入が断たれた状態に陥っている。

その1人の24歳の女性は、IT系学位を大学で取得した後、ミャンマー最大の都市ヤンゴンでEPRコンサルタントをしていたが、軍事クーデターの影響で会社が閉鎖し、失業。地元に戻り、今は家族6人で暮らしているという。

同法人では、ニット帽の購入や英会話レッスンを通じて、ミャンマー人と家族の生活を支え、民主化の支援ができるとして、広く参加や協力を呼びかけている。ニット帽の購入はhttps://ganas.base.shop/へ。