霊感商法や開運商法などと呼ばれる悪質商法への対策を検討する消費者庁の有識者会議「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の2回目の会合が2022年9月7日、オンライン方式で行われ、菅野志桜里委員(弁護士/The Tokyo Post編集長)は「違法な金銭的詐取を繰り返すカルト的団体には税優遇措置をはく奪し、解散命令にまでもっていく対応が必要」と指摘した。
「政府全体での取り組みを」と河野担当相にエール
委員会で、検討会での今後の課題について発言した菅野委員は、検討会の目標として、カルト的団体による金銭的詐取の被害者の救済と、金銭的詐取を繰り返す団体への強い法的手段の必要性について検討する必要があると提言。税優遇措置のはく奪や解散命令などは消費者庁だけではできないとしながらも、「省庁の壁を越え、政府全体で取り組んでいただけるよう河野太郎消費者担当大臣に頑張っていただきたい」と述べた。
また、2018年の消費者契約法の改正で設けられた霊感商法の契約に対する取消権に関する判例が1件も確認できなかったとする消費者庁の説明を受け、「霊感商法対策として効果的な法律になっていないことを正面から受け止めて改善を検討し、狭すぎる要件を広げる必要がある」と指摘。「無知や脆弱性を利用した場合」といった要件も盛り込むべきだと提言した。
民事責任で解散命令を出せるルートも必要
宗教法人に対する税優遇措置については、公益法人認定法を例に挙げ、「法律では寄付について、無理強いしたり使い道を誤解させたりしてはいけない、著しい不利益を与える寄付の要求はいけないなどの禁止事項がある。こうした法律の考え方は宗教法人にも該当するのではないかと思う」として、常識を超える多額の献金の強要や、悪縁を払うなどといって寄付を求める行為について法律で規制すべきだと述べた。
さらに信者からの詐取を繰り返す団体の解散命令について、これまで解散命令を受けた宗教団体は殺人未遂と詐欺の刑事事件になった2件のケースしかないと指摘。民事的な違法行為を繰り返す宗教団体が宗教法人として存続し、税の優遇を受けているのは疑問だとして、これまでの法律の運用について調査するよう消費者庁に求めた。
そのうえで、「民民事的な違法行為を組織的に繰り返す宗教法人に対して解散命令が発せられるというルートが機能していないのであれば、機能するように法律の改正も必要だろう」と訴えた。
霊感商法対策検討会は、動画投稿サイトYouTubeで非公開部分をのぞいて生中継されるほか、開催から1週間、録画を視聴できる。