北朝鮮が2022年1月に入ってから、相次いで日本海に向けてミサイルを発射している。1回目は1月5日で、1発のミサイルを発射。それを皮切りに17日まで約2週間で4回の発射という異例のペースとなっている。
極超音速ミサイルの開発に成功か?
中には迎撃が困難な極超音速ミサイルとみられるものもあり、日本政府は「北朝鮮の核ミサイル技術の著しい発展は、わが国と地域の安全保障にとって看過できない」と警戒感を強めている。
防衛省の発表によると、北朝鮮は1月5日と11日に、いずれも内陸部からミサイルを発射。通常の弾道ミサイルより低い最高高度約50キロ程度で飛び、11日のミサイルは最高速度マッハ10だった。これらのミサイルについて北朝鮮メディアは「極超音速ミサイルに成功した」と報じている。
その後も北朝鮮はミサイル発射を続け、14日と17日にも固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルとみられるものを発射。14日のミサイルについては列車から発射されたとみられる。
防衛省は5日と11日のミサイルについて極超音速ミサイルとは認めておらず、「詳細について分析中」としているが、岸信夫防衛相は会見で、マッハ5を超える速度や低い高度、変則的な軌道など極超音速ミサイルの特徴を認め、「これまで北朝鮮によって発射されたことのない新型弾道ミサイルであると考えている」としている。このことから、北朝鮮が捕捉や迎撃が難しい極超音速ミサイルの開発を着実に進めている可能性が高い。
「防衛力強化に取り組む」と岸防衛相
相次ぐ北朝鮮のミサイル発射について、日本政府は警戒を強めており、中国大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議したほか、17日には日米韓政府の北朝鮮問題担当の高官が約30分電話協議を行った。三者は北朝鮮のミサイル技術向上に対する強い懸念を共有。北朝鮮の完全な非核化の実現に向けて3カ国が緊密に連携し、抑止力を強化することを申し合わせた。
岸防衛相は18日の記者会見で、2週間に4回のミサイル発射を行った北朝鮮に対し「鉄道からの発射や変則的な軌道の可能性のある飛翔といった新たな態様での発射を行い、発射の兆候把握を困難にするための秘匿性、即時性、奇襲的な攻撃能力の向上、発射形態の多様化など、急速に関連技術や運用能力の向上を図ってきている」と指摘。
「わが国と地域の安全保障上、看過できず、弾道ミサイル発射は国連安保理決議に違反するもので強く非難する。敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」と述べた。