電話相談
画像:Shutterstock 電話相談

精神科病院に入院している人を対象に無料電話相談を実施 東京や大阪のNPO

精神障害者の権利擁護や精神科病院での人権侵害の是正などの活動に取り組んでいる認定NPO法人大阪精神医療人権センターが、精神科病棟に入院中の人の人権にかかわる無料の電話相談を東京都、神奈川県、埼玉県、兵庫県にある精神医療人権センターと共同で2月に実施すると発表した。入院医療機関以外のボランティアが秘密厳守で相談に乗る。

当事者や家族らボランティアが対応

無料電話相談を行うのは、2月2日と12日、22日の3日間。いずれも午前11時から午後4時までだが、22日だけ午後6時から午後9時の間にも受け付ける。相談にあたるのは精神障害がある当事者や家族、看護師・作業療法士・精神保健福祉士など医療従事者、センターで活動している一般市民らで、電話で話を聞いたうえで、アドバイスをしたり対応を検討したりする。

各センターではふだんから曜日を決めて、電話相談の日を設けているが、新型コロナウィルス感染拡大後、電話相談の件数が増えている。感染防止のため、家族が病院へ面会に行くのも難しくなっているのが背景にあるとみられる。このため、より多くの人の相談を受けようと無料相談を行うことになった。

人権侵害が疑われる拘束や隔離も

大阪精神医療人権センターは、1984年に栃木県で発覚した入院中の精神障害者に対する傷害致死事件をきっかけに設立された。事件は病院の看護職員が入院患者に暴力を振るって、2人を死亡させたもので、精神科病院の閉鎖的な環境が事件の背景にあるとして大きな社会的反響を呼んだ。

センターの設立当初は、私書箱を設けて手紙による相談を受け始め、1987年1月からは電話による相談を始めた。現在も閉鎖的な環境になりがちな精神科病院では虐待や長期入院、隔離拘束といった人権侵害を受けても、当事者が外部に相談するのは困難だとされる。

2020年の厚生労働省の調査によると、日本国内で精神科病院に入院しているのは26万9476 人で、その約半数の13万1726人が強制入院。5年以上の入院している人は8万3381人で、中には20年以上という人もいる。

こうした状況の中、センターには「身体拘束や隔離をされ、職員が私物を持っていくこともある。シャワーや洗面も十分にできていない」「長い期間、入院しているが症状を理由に、買い物も制限される」「看護師の手を振り払っただけで、身体拘束が長く続いている」といった本人や家族からの相談が寄せられているという。

センターでは「相談を受けていると、医療従事者が治療や事故防止のことで頭がいっぱいになっていると感じることがある。私たちは本人や家族の話をじっくりと聞き、一緒に考えていきたい」などとしている。

無料相談の日時と実施する精神医療人権センター、電話番号は次の通り

2月2日(水)11時~16時 神奈川・埼玉・東京・兵庫・大阪

2月12日(土)11時~16時 埼玉・大阪・兵庫

2月22日(火)11時~16時 神奈川・埼玉・大阪

2月22日(火)18時~21時 東京・兵庫

神奈川精神医療人権センター 080-7295-8236

埼玉県精神医療人権センター 050-6872-4361

東京精神医療人権センター  042-524-7566

兵庫県精神医療人権センター 078-612-0876

大阪精神医療人権センター  06-6313-0056