政府は2022年6月14日、22年版男女共同参画白書を閣議決定した。白書では日本の男女共同参画が進まない理由について、家族の姿が変化しているにもかかわらず、さまざまな政策や制度が昭和時代から変わっていないと指摘した。また、結婚願望のない男女が増えているとの調査結果が注目を集めた。
高度成長時代の制度設計が男女の賃金格差を生む
白書では1980年と2020年の家族の姿を比較。それによると、30歳時点の未婚割合は、1980年で女性11.3%、男性31.1%だったのに対し、2020年は女性40.5%に、男性は50.4%に増加した。
また、1985年と2021年との比較では、専業主婦が減少する一方で、妻がパートタイムで働く世帯数は約200世帯から約700万世帯となった。妻がフルタイムで働いている世帯は約400万世帯から約500万世帯でほぼ横ばいだった。
ところが、働いている既婚女性の多くは収入が低く、17年の調査では約6割が年収200万円未満となっていた。女性の世帯収入が低いのは、単独世帯でも同様の傾向があり、所得300万円未満の世帯は男性31.9%なのに対し、女性は53.3%となった。
女性の収入が低い理由として、白書では年収を一定額以下に抑えるため就労時間を調整する「就業調整」を挙げ、高度成長期以降の昭和時代に設計された社会保障制度や企業の給与、福利厚生制度が背景にあると指摘。これらの制度は、右肩上がりの経済成長と低失業率、正規雇用・終身雇用の男性労働者と専業主婦・子供という核家族モデル、充実した企業の福利厚生などを前提としているとした。
こうしたことを踏まえ、白書では「もはや昭和ではない」として、時代の変化や多様性に対応した制度設計や政策の必要性を訴えた。
「デート経験のない20代男性40%」が話題に
白書では、若い世代の結婚観についても調査。20代の女性の約5割、男性の約7割が「配偶者、恋人はいない」と回答し、デートをしたことがないと回答した男性が約40%、女性も25%に上ったことが注目を集め、著名人の嘆きコメントなどがSNSで話題となった。
このことは14日の野田聖子男女共同参画担当相の記者会見でも話題にのぼり、記者が「少子化に拍車がかかるのではないか」と質問したのに対し、野田担当相は「(結婚しない理由には)女性から見た問題もあるが、男性のほうにも夫や父親としての役割を果たしやすい職場環境が整っていないなどの慣習や事情がある」として、結婚を望む人が結婚しやすい環境を整備していくことが大切だと答えた。
また、男女の出会いについても、「昔は対面での出会いでないと後ろめたいという感覚があったが、今はオンラインでの出会いが主流になっている」などして、時代にあった出会いの場を用意することも重要だと述べた。