公益社団法人ガールスカウト日本連盟は2022年3月30日、「『ジェンダー』に関する女子高校生調査報告書2021」を公表した。調査の結果、女子高校生らが「体についての心配や迷い」を抱えている一方で、正しい知識や対処法を身に付けている少女が少ないことが分かった。
「婦人科などを受診した」との回答は、わずか21%
調査は、現代の女子高校生らが自分の体についてどのような心配があるのか、どのような教育を望んでいるのかなどを明らかにするため、女子高校生を対象に21年2月11日から3月25日までインターネットを通じて行われ、304人から回答があった。
調査結果によると、「何らかの月経にまつわるトラブルがある」と回答したのは75%で、「月経痛や月経前症候群により学校での勉強や部活動などに支障をきたす」と答えたのは39%だった。
一方で、「産婦人科や婦人科、レディースクリニックを受診したことがある」という回答は21%、月経の周期を変えたり止めたりするなどコントロールすることについて「すべきでない」と回答したのは29%、「わからない」と答えたのは22%だった。
こうしたことから、多くの女子高生が月経でつらい思いをしているにもかかわらず、治療を受けていなかったり、正しい対処法を知らなかったりしていることが分かった。
「性に関する情報をどこから得ているのか」という問いに対しては、「学校の授業や教科書」という回答が68%で最も多かったものの、「インターネットやSNSから」という回答も66%と高かった。また、「日本の性的同意年齢は何歳か」という問いに13歳と正答できたのはわずか14%で、16歳~18歳までの年齢を挙げた回答が87%に達した。
「周囲の大人も正しい知識を」と提言
ガールスカウト日本連盟では、女子高校生のジェンダー観や現状がわかるデータを収集することで、日本における女性への差別や暴力の現状を把握し、適切な対策に役立てようと、2019年から女子高生を対象とした調査を続けている。
同連盟は、女子高生が女性特有の健康問題に直面しているにもかかわらず、適切に医療機関にたどり着けていないという調査結果を、「当人と彼女たちを取り巻く大人たちに、リプロダクティブ(生殖)に関する健康と権利への知識が欠けている」ことが背景にあると分析している。
また、多くの女子高生が、性に関する情報をインターネットから得ていることには「正しい情報を適切に見分けられるかという問題がある」と指摘。性的同意年齢についても、「性的な行為について教育を受けていない13歳を性的同意年齢とするには問題がある」としている。
調査結果を踏まえ、同連盟では「性に対する正しい知識やジェンダー平等、人権尊重を基本とした『包括的性教育』を低年齢から実施することが必要」などと提言。「周囲の大人も青少年の可能性を阻まないため、正しい知識を身に付ける必要がある」と訴えている。
画像:shutterstock 月経痛