世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による高額の寄付の強要や霊感商法への批判が高まる中、霊感商法対策を話し合う消費者庁の有識者検討会の初会合が2022年8月29日、オンライン形式で開催された。旧統一教会をめぐっては、自民党を中心に政治家との密接な関係も取りざたされており、効果的な霊感商法対策を打ち出すことで国民の疑念を払しょくできるか、注目される。
多額の寄付も議題に
8月の内閣改造で、消費者担当大臣を兼任することになった河野太郎氏は、就任後、すぐに検討会の設置を消費者庁に指示。統一教会に限定せず、霊感商法全般について対策を検討することになった。
検討会は29日夕方から始まり、座長の河上正二東京大学名誉教授をはじめ、被害者支援に取り組んできた紀藤正樹弁護士、前衆院議員の菅野志桜里弁護士(TheTokyoPost編集長)ら委員が出席。会議の模様は動画投稿サイトYouTubeで配信された。
会議の冒頭、河野消費者担当相は「霊感商法とは物品販売だが、(宗教団体への多額の)寄付の問題も指摘されている。その場合は消費者庁で対応するのではなく、政府に対して提言することになるが、境界を定めずに自由に議論してほしい」と述べた。
会議では、消費者庁が全国の消費生活センターに寄せられた相談件数などについて説明。それによると、2012年度に約3,200件以上あった相談件数は、21年度には約1400件に減少。しかし、2016年以降は、約1,200件から約1,500件と横ばいの状態が続いている。また、21年度の支払額は平均97万円だった。
この日の会合では、委員からは「(霊感商法を担当する)特命大臣を設置してほしい」といった意見も出た。検討会は今後、週2回のペースで開催される予定。
安倍元首相銃撃事件を機に批判が噴出した背景をおさらい
22年7月8日に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件では、容疑者の男が「旧統一教会に恨みがあり、統一教会と関係のある安倍元首相を狙った」などと供述しているとされる。容疑者の母親は旧統一教会の現役信者で、協会に多額の寄付をしたため経済的に破綻。容疑者は宗教にのめり込む母親や生活の苦しさに悩んでいたという。
一方、安倍元首相は、旧統一教会の関連団体が主催するイベントにビデオメッセージを送るなどしていたことが分かっている。
こうした事件の背景をめぐり、長年、旧統一教会による霊感商法の被害者救済に取り組んできた弁護士らが、「自民党議員を中心に一部の議員が関連団体のイベントに参加するなどして、広告塔的な役割を果たしていた」などと批判。連日、旧統一教会と国会議員との関係がメディアで報じられる中、岸田文雄内閣の支持率も下落傾向にある。
●必ずしも所管にとらわれず、消費者契約法や特定商取引法あるいは宗教法人法まで必要に応じてきちんと提案し、スピーディーに球出ししていこう。こんな共通認識でスタートできました。次回からさらに具体的な検討に入っていけるはずです(菅野志桜里)
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