ウクライナオデーサで穀物を積み込む船 画像:shutterstock
ウクライナオデーサで穀物を積み込む船 画像:shutterstock

「出荷された農産物は50万トン」とウクライナ発表「経済を活性化が勝利への道」ゼ大統領

ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年8月13日、ロシアとの合意に基づき穀物輸出が1日に再開して以降、ウクライナの港から出荷された農産物はすでに約50万トンに上ったとし、「ウクライナの穀物が世界の食糧危機を緩和している」と語った。しかし、第1便で輸送された穀物が買い取りを拒否されるトラブルも起きている。

「食糧危機は解消されていくだろう」と大統領

ウクライナの国営通信社ウクルインフォルムによると、ゼレンスキー大統領が13日夜に動画メッセージを発信し、穀物の輸出再開について語った。

ゼレンスキー氏は「ウクライナの港から穀物を載せた7カ国の船計16隻がすでに出港した。船には、約50万トンのトウモロコシや小麦、ヒマワリ油粕、大豆など、世界の市場が絶対的に必要としている農産物が積まれている。それはすでに食糧危機の厳しさを緩和しており、農産物の消費国に一定程度、平穏への期待を与えている」と述べた。

また、「パートナーである各国がウクライナの出荷品と港の安全を保証し、ロシアからの挑発とテロを防いでくれれば、食糧危機問題は解消されていき、いずれ世界の議題から完全に取り除かれるだろう」して、安全な航行への協力を求めた。

ゼレンスキー大統領によると、現在、オデーサ、チョルノモルシク、ピウデンニーの3港から穀物の輸送が行われており、2週間弱の期間で、「7月1カ月の車両による輸出量と同程度、鉄道輸出の3分の2以上の量を輸出できた」という。輸出封鎖が解除されたことにより、国内の雇用も回復でき、来年に向けた種まきに必要な資金やウクライナの国家予算への収入も確保されたとして、ゼレンスキー大統領は「経済を活性化させることは、勝利への道における絶対条件だ」と輸出再開の意義を強調した。

遅延を理由に買い取りの拒否も

ウクライナが順調に穀物輸出を増やしていく一方で、第1便として出航した貨物船が、穀物の買い取りを拒否されるなどのトラブルに見舞われている。

8日、在レバノン・ウクライナ大使館がフェイスブックで発信したところによると、1日に第1便として出航した貨物船「ラゾニ」は、2万6,000トン以上のトウモロコシを積み、目的地のレバノンに向かっていた。しかし、レバノンの業者が、5カ月以上の配送の遅延を理由に貨物の受け取りを拒否したという。このため、同貨物船は別の買い取り手を求めて行き先を変更することになった。