ロシアによる侵攻で壊滅的な被害を受けたウクライナの復興を支援するための国際会議が2022年7月4日から2日間の日程で、スイスのルガーノで開かれた。会議には40カ国以上の国のほか、欧州投資銀行(EIB)や経済協力開発機構(OECD)など約20の国際機関の代表らが参加し、「ルガーノ宣言」を採択して閉幕した。
各国が復興支援を表明
ルガーノ宣言は、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難する一方で、ウクライナの復興やEU加盟などウクライナ支援に全面的にコミットすると表明。そのうえで、ウクライナ自身が復興の推進役になるべきだと指摘し、復興に当たっては透明性の確保や説明責任、法の尊重、持続可能性などを原則として示して、国内改革による民主化の促進などもウクライナに求めた。
会議では米国や英国、フランス、日本などの各国が、ロシアの軍事侵攻を「最も強い言葉で」非難して軍隊をただちに撤退させるようロシアに求めた。日本からは鈴木貴子副大臣が出席し、「さまざまな自然災害から復興を成し遂げてきた日本の経験を生かしながら今後のウクライナの復興に積極的に貢献していく」などと述べた。
また、英国は2023年のウクライナ復興会議をロンドンで行うことを表明した。
ウクライナの復興計画は101兆円規模
今後のウクライナの復興については、同国のシュミハリ首相が復興発展計画を発表。計画の遂行に必要な資金は最大7500億ドル(約101兆円)に上るとした。
計画によると、復旧や復興は緊急度に応じて3段階に分けて進め、第1段階として水道や橋など人々の生活に欠かせないインフラの復旧を進め、次に学校や病院、住居などの施設を再建。最後に、環境を重視した経済の回復など長期的な課題に取り組むとしている。
5日付CNN日本語オンライン版によると、シュミハリ首相は復興費用の一部について、各国のロシアへの経済制裁によって凍結されているオリガリヒ(新興財閥)の資産をあてるべきだと提案。そのほか、各国や国際金融機関からの助成金や長期低利融資、民間からの投資などを挙げて、参加各国に計画への支持と支援を呼びかけた。計画は復興プロセスを管理する文書として認められた。
ウクライナのゼレンスキー大統領も会議に先立ちオンラインで参加して基調講演を行い、全ての文明国に対して復興計画に加わるよう呼びかけた。
ゼレンスキー大統領は、「復興プロジェクトを最大限ウクライナの本当の経済や生活へと根付かせなければならない」と述べ、ウクライナでの新しい産業や雇用の創出につながる支援の必要性を訴えた。