岸田総理 会議
画像:首相官邸

「孤独・孤立問題」は社会全体で解決を 政府の重点計画 NPO支援に63億円

深刻化する社会的な孤独・孤立の問題に関する政策を決定する政府の「孤独・孤立対策推進会議」が2021年12月28日、首相官邸で初めての会議を開いた。会議には岸田文雄首相も出席し、支援情報が網羅されたポータルサイトの構築や24時間体制の相談支援窓口の整備など具体策を盛り込んだ「孤独・孤立対策の重点計画」を決定した。

相談支援体制の整備やNPOとの連携を重点施策に

重点計画では社会の現状について、職場や家庭、地域で人々が関わり、支え合う機会が減少したことで、生きづらさや孤独・孤立を感じざるを得ない状況が生まれやすくなっているとしたうえで、新型コロナ感染拡大以降、交流・見守りの場や相談支援を受ける機会が失われ、孤独・孤立の問題が深刻化しているなどと指摘。孤独・孤立は、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るもので、社会全体で対応しなければならない問題だとしている。

対策として、ポータルサイトサイトによる情報発信や相談支援窓口の整備を挙げ、支援を求める声を上げやすくし、状況に合わせた切れ目のない相談支援につなげていくとした。また、「居場所」やつながりの場づくりにも取り組み、人と人のつながりを実感できる地域の実現にもとり組んでいく。

NPOなどとの連携の重要性にも触れ、孤独・孤立対策にとり組むNPOなどへのきめ細やかな支援や官・民との連携基盤づくりも進める。

新型コロナ禍で孤独・孤立が深刻化

孤独・孤立対策推進会議は、新型コロナウイルス感染対策による外出自粛などの影響で、生活困窮者や自殺者、社会から孤立する人が増加していると見られることから、2021年3月に設置された。現在の議長は孤独・孤立対策担当相を兼務する野田聖子少子化相が務めている。

岸田首相は会議で「新型コロナの影響で、孤独・孤立は依然として深刻な社会問題となっている。生活困窮、自殺防止、子どもの貧困など課題は多岐にわたっており、官・民・NPOが緊密に連携し、重点計画の各施策を着実に進めてほしい」と話した。

また、「補正予算と来年度予算で63億円を用意し、孤独・孤立対策に取り組むNPOなどを支援をしていく」との方針も明らかにした。

具体的には、子ども食堂や学習支援など困難を抱えた子供を支援するNPOへの交付金を拡充するほか、自殺防止対策に取り組む民間団体などへの助成金・交付金の支給、路上生活者らへの声かけなどをしている居住支援法人に対する補助上限額の引き上げなどを行う。