画像:shutterstock あきれ顔の女性
画像:shutterstock あきれ顔の女性

「顔で選んでくれれば一番」維新・石井議員が“トンデモ”失言 なぜ言ってしまう?

日本維新の会の石井章参院議員が2022年5月15日に開かれた参議院栃木選挙区の事務所開きで、立候補予定の女性新人候補について「年齢は一番番若く、顔で選んでくれれば一番を取る」などと述べたと地元紙に報じられた。「女性や有権者を侮辱する発言」と批判を浴びている。

「女性5人の候補の中で一番若い」とあいさつ

今年夏に予定されている参議院選挙の栃木選挙区には、女性5人を含む6人が立候補を予定している。維新は新人で会社社長の大久保裕美氏を公認候補として発表。石井氏は党北関東ブロック長で、大久保陣営の選対本部長を務めている。

16日付下野新聞社オンライン版によると、事務所開きのあいさつに立った石井氏は、選挙戦の構図に触れたうえで、「女性5人が出るが年齢は一番若く、顔で選んでくれれば一番を取るのは決まっている」と述べた。

その後、下野新聞の取材を受けた石井氏は「(新人の)若さを前面に出す意図だった。自民現職を除く他の候補者の顔は知らず、誹謗中傷するつもりは全くない」などと釈明。発言を撤回したという。

栃木選挙区では15日現在、3選を目指す自民党現職の上野通子氏に、5人の新人が挑む構図となっている。大久保氏のほか、立憲民主党は税理士の板倉京氏、共産党は元佐野市議の岡村恵子氏、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」は心理カウンセラーの高橋真佐子氏と立候補予定者のうち5人が女性。唯一、政治団体の参政党が、男性の自営業、大隈広郷氏の擁立を発表している。

「ほかに話すことが」と維新議員も批判

石井氏の発言に対しては、Twitterなどで批判が殺到。身内である維新所属の地方議員からも「申し訳なく悔しい」との声が上がっている。

下野新聞は「容姿を取り上げる発言をした」と批判的に取り上げており、同じく発言を取り上げた朝日新聞も「外見による差別にあたる恐れがある」と指摘している。立憲民主党の田島麻衣子参院議員もTwitterで「国会で立法や予算審議の仕事をする人間を選ぶのに、年齢で一番若く顔で選べば一番、を売りにしてどうする。本人に悪気がない点が、最も哀れ」と発信した。

また、「他の候補者に対する侮辱とともに、栃木県内の有権者は無能だと侮辱しているとも取れる」「こういう発言で地元がニュースになるのは恥ずかしい。有権者がナメられているんだなと感じてしまう」などと有権者を見下した発言だとの声もあった。

維新所属の松本常広品川区議も「栃木の大久保支部長とは以前会ったことがあり、ヤングケアラー問題を1時間以上熱心に話していた。あいさつの場で強調するポイントはたくさんある人物。こうした発言がなされることに、所属議員として本当に申し訳なく同時に悔しい」などとTwitterで発言を批判した。

政治家のジェンダーに関する失言はなぜ起こるのか。2022年5月現在で、国会議員の女性比率は14.7%、衆議院のみでみると9.7%という低水準に留まる。政治家の失言の原因は、政界にダイバーシティが不足しているために感覚がアップデートできないことにあるともいえそうだ。