人権とビジネスリスク(イメージ)画像:shutterstock
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人権デューデリジェンスの現状や取り組みを学ぶセミナーを開催 UNDPと外務省が共催

国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所は2022年6月9日、外務省との共催で人権デューディリジェンス(人権DD)に関するセミナー「日本企業およびそのサプライヤーに期待される人権デュー・ディリジェンスの現状と今後の展開 〜日本とUNDPの新たなパートナーシップ」を6月17日に開催すると発表した。

人権DDを知らないと経営上のリスクに

2011年の国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)は、法的拘束力はないものの、すべての国と企業が尊重すべきグローバル基準となっている。特に企業に対して人権DDの実施を求めており、ドイツやフランス、オーストラリア、ノルウェーなど、企業のサプライチェーン全体で人権DDを組織的に実施することが法律で義務化されている国もある。

人権DDとは、企業の事業活動のなかで強制労働や児童労働、ハラスメントなどの人権リスクに関与していないかを特定し、適切に対処することで、日本でも2020年に政府が「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」を策定した。現在、2022年夏までの取りまとめを目指し、人権DDの業種横断的なガイドラインの策定に取り組んでいる。

こうしたことから、今後、人権DDに取り組まない企業はEUをはじめとする世界の主要市場にアクセスできなくなり、風評被害や法的リスクに直面する可能性もあるとして、UNDPや外務省は企業への啓発や導入支援に取り組んでいる。UNDPは「人権DDを実施する企業は、国際社会からの信頼を高め、世界の投資家などから高い評価を得られる」としている。

人権DDの現状や導入法を解説

UNDPは22年3月から、日本政府の資金提供によってガーナ、インドネシア、メキシコ、キルギス、トルコなど17カ国を対象とした人権DD導入のためのプロジェクトを進めている。各国政府と連携して、人権DDを導入できる環境を整備するのが目的で、国内の体制整備のほか、日本と対象国との間のビジネス慣行を公正で適正なものにしていく。

今回のセミナーでは、このプロジェクトの目的や意義、活動内容も紹介しながら、人権DDに取り組む必要性や、導入方法について知ってもらう。

セミナーは6月17日午後3時から、経団連会館(東京都千代田区)の会場とオンライン(Zoom)のハイブリッド開催で行われる。

セミナーは3部構成で、第1部の「日本と世界の人権デュー・ディリジェンスに関する政策及び規範的枠組みの展開」では、経済産業省の担当者が、策定中のガイドラインについての概要を説明。UNDPの担当者らが、世界各国の人権DD政策の進展と、日本企業への影響を紹介する。

2部では、UNDPと外務省の担当者が、プロジェクトの目的や意義、具体的な活動内容について解説。3部では経団連の活動や企業などの取り組みについて紹介する。

会場、オンラインともに参加費は無料。

申し込みはセミナーの公式サイトから

https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/presscenter/events/2022/human-rights-due-diligence-expectations.html