パタゴニア看板 画像:shutterstock
パタゴニア看板 画像:shutterstock

パタゴニアの従業員が会社に「無期転換逃れ」改善求め労働組合結成

米国のアウトドア用品大手「パタゴニア」の日本支社で働くパート従業員が2022年7月13日、「会社が雇用契約期間を5年未満としているのは、無期雇用への転換を逃れるためだ」として、労働組合を結成したと発表した。今後、契約期間の制限の撤廃を求めて、会社に団体交渉を求めていく。

契約更新が5年を超えれば無期雇用転換が可能に

13日付の共同通信によると、北海道や関東の店舗で働くパートタイマーら4人が、11日に労働組合を結成。13日、労組代表を務める50代の女性が札幌市内で記者会見を開いた。

女性の説明によると、女性が3年前に入社した際、当時の採用面接や労働条件を説明した書類で、契約期間について「最大で5年未満を限度とする」と伝えられた。しかし、2013年4月に施行された改正労働契約法では、働く期間が1年などと契約で定められる有期雇用の契約期間が通算で5年を超えれば、労働者は期間を限定されない無期雇用への転換を企業に申し入れることができ、企業側は原則的に断れない。

こうしたことから、女性は会社の契約内容に疑問を感じ、実際に同僚が退職した際の経緯についても、納得できなかったという。今後、団体交渉を通じ、契約期間の制限を撤廃して、無期雇用への転換が可能になるよう会社に求めていく。

「契約内容はフェアではない」と組合代表

パタゴニアは、原材料の供給先の情報を全て明らかにするなど、サステナビリティや人権DDに積極的に取り組んでいる企業として知られ、「世界一のレスポンシブル・カンパニー(責任ある企業)」と呼ばれることもある。

こうしたパタゴニアに対し、女性らは、会社が契約期間を「最大で5年未満を限度」としているのは、「無期転換ルール」の適用を逃れるためだと主張。「環境問題に配慮し、公正なビジネスを行っているパタゴニアが、一方的な雇い止めをしているのはどう考えてもフェアではない」と訴えた。

朝日新聞オンライン版によると、女性はさらに「社内で最も弱い立場にある私たちが、一方的に不利益を受けている」と会社を批判。同じように雇用期間に制限を設けている企業で働く人たちに対し、「おかしいと思えば、あきらめなくていい」と呼び掛けた。

同日付NHKオンライン版によると、パタゴニアの日本支社は、取材に対し「『無期転換逃れ』という主張は遺憾だ。従業員が労働法規に基づく権利を行使することは尊重する。組合と従業員に対し、今後とも関係法令を遵守して誠実に対応する」とコメントしたという。