第26回参議院選挙の投開票が2022年7月10日に行われ、翌11日午前、125議席が確定した。このうち、女性の当選者は35人となり、過去最多だった2016年と19年の参院選28人を上回った。しかし、当選者に占める女性の割合は28.0%で、政府が目標としている35%を依然として下回っている。
立民は半数以上が女性に
女性当選者35人の内訳は、選挙区21人で比例代表は14人。非改選を合わせた新勢力では64人、25.8%になり、改選前(6月23日現在)の56人、23.1%を人数で8人、比率で2.7ポイント上回った。
政党別で見ると、女性の当選者数が最も多かったのは自民党の13人で、立憲民主党9人、日本維新の会3人と続いた。公明党、国民民主党、共産党はそれぞれ2人、社民党は1人で、無所属が3人だった。れいわ新選組、NHK党、参政党には女性当選者がいなかった。
各政党当選者の女性比率をみると、立民は52.9%と女性が半数を超えた。共産は50%で、国民40%、維新25%。自民は20.6%、公明15.4%だった。社民は1人の当選者が女性で、100%となった。
女性比率に応じて政党助成金を減額する案も
日本は世界の国の中でも男女格差が大きな国だとされており、男女格差の大きさを国別に比較した世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」では、156か国中120位(2021年)となった。特に政治・経済の分野のスコアが著しく低く、下位に低迷する要因となっている。国会議員に占める女性の比率も低く、政府のまとめによると、改選前の参議院の女性比率は、190カ国94位に相当。衆議院の場合は、女性比率は9.9%で166位相当となる。
女性の地位向上などを図るために策定された政府の「第5次男女共同参画基本計画」では、2025年に衆参両議院でそれぞれ、議員に占める女性の割合を35%にするという目標を掲げている。また、18年には、男女の候補者数をできるだけ等しくするよう政党に求める「政治分野における男女共同参画推進法」も施行された。
同法の施行以来、女性候補者の数も増える傾向にあり、この参院選では181人の女性候補が立候補。候補者全体に対する女性の比率が33.2%と過去最高となっていた。
ジェンダーと政治が専門の申琪栄(しん・きよん)・お茶の水女子大教授は7月11日付の日本経済新聞のインタビュー記事で女性議員を増やす方法を聞かれ、「日本は世界と比べても政党助成金が多い。フランスは下院選で男女の候補者の開きの割合に応じて助成金を減らす仕組みで女性議員を増やしている。アイルランドは40%の女性クオータを守らなければ、助成金を半額まで減らす改革を実施した」などと指摘。女性候補を増やせない政党に対し助成金を減らすなど、実効性のある対策を取り入れるべきだと述べた。