東京都の小池百合子知事は2022年4月8日、22年度の都民提案・大学提案の募集を開始したと記者会見で明らかにし、積極的な提案を都民に呼びかけた。提案の締め切りは6月17日。
2017年度から都政参画の仕組みとして実施
都民提案・大学提案は都民の意見や研究者の知見を東京都の施策に反映させようと都民提案は2017年度から、大学提案は18年度から実施されている。都民の声を直接施策に反映させる都政参画の新たな仕組みと位置づけられ、これまで1435件の提案があり、52件が事業化された。
都民提案に応募できるのは15歳以上の都民か、都内への通勤・通学者で、大学提案は東京都内の大学に在籍する研究者が対象。提案された内容は都による選考で事業案を絞ったうえで、都民によるインターネット投票を実施し、その結果を踏まえて事業化する提案を都が採択する。都民提案はより若い世代にも参加してもらおうと、21年度から対象年齢が18歳から15歳へと引き下げられ、高校生も応募できるようになった。
対象となる事業は、感染症対策や防災対策、バリアフリー化の推進、女性の活躍促進、出産・子育て支援などで、採択された都民提案事業は、都が2億円以内で単年度事業として予算化する。大学提案事業は、研究調査費用の経費として単年度あたり最大3000万円、都との連携事業として単年度あたり最大2億円を、3カ年を上限に支援する。
22年度に高校生からの意見が2件予算化
都によると、21年度の応募件数は都民提案が477件、大学提案は43件。このうち、都民提案13件、大学提案11件を選定し、都民によるインターネット投票を行った。都は投票の結果を踏まえて、最終的に都民提案7件、大学提案5件を採択し、22年度予算で事業化した。
採択された都民提案7件のうち、2件が高校生からの提案だった。このうち1件は「だれもが使いやすい駅づくり」事業で、視覚障害者らが便利で安全に駅を利用できるよう、鉄道事業者と連携してスマホアプリや先進技術などを活用した案内誘導などを行う。
具体的には、あらかじめ駅員に介助を依頼できるスマホアプリや、AIカメラが駅の利用者の中から杖を持った人を自動的に探知して駅員に知らせるシステムを活用することで、目の不自由な人や車いすを利用している人でも駅を利用しやすくする。都は事業化に向けて4000万円を計上した。
小池知事は会見で「都民のニーズや、こうなったらいいなという高校生の意見などを、従来の発想にとらわれない視点で、都の施策に反映させることが目的。多くの方から、前向きな提案をいただきたい」と述べた。